私と契約して！
case.匪口
「結也！私と契約して旦那さんになってよ！」
「は？何言ってんの」
「魔法少女まどか☆マギカの有名な台詞のパロだよ！結也見てないの？」
「見てないよ。あんた俺の事なんだと思ってるの。そういうのはふんどしソムリエの役目でしょ」
「じゃあ石垣さんに言ってこよ」
「……ちょっと待て」
「え？」
「まさかとは思うけど、今のセリフそのまんま言う気？」
「うん、そうだよ」
「……話聞いてやるから、その魔法少女のアニメについて詳しく教えてよ」
「えっ？いいけど……興味ないんじゃなかったの？」
「事情が変わった」
case.折原
「折原さん！私と契約して友達になってください！」
「……え？俺達もうとっくに友達だと思ってたよ」
「それは勘違いですね！私と友達になりたかったらちゃんと手続きをしましょう」
「ふーん。……じゃあ契約の書類は用意してあるんだよね？」
「え？そんなのないですけど」
「何それ、それぐらいのこともしないで契約なんてよく言えたね？子供じゃないんだからさ、そういう言葉使うならちゃんと責任もって行動してよ」
「あれ……なんか怒られてる」
「じゃあ契約書類は俺が作るよ。後日渡すから待っててね」
「あいあいさー！」
数日後
「できたよ、書類」
「多っ！なんですかこの量！」
「俺も結構形から入るところがあってさ」
「なんだなんだ、折原さんもはしゃいじゃったんですね」
「まあ、そう思ってくれて構わないよ。で、目を通したらここにサインして」
「了解しました！」
すい〜（流し読みする音）さらさらっ（サインする音）
「できましたよ折原さん！」
「あーあ、サインしちゃったね。君は本当、想像通りの馬鹿だよ。まぁお陰でこっちは気が楽だけど」
「……！？どういう意味ですか」
「ちゃんと読んでないでしょ。【契約にあたって】って項目……『折原臨也と友人関係を築くにあたって、何事にも置いて彼を優先することを誓う』とか『折原臨也の言うことは絶対である』、『平和島静雄との関係を一切断ち切る』――」
「ちょっとちょっと待ってくださいよ！これなんなんですか！こんなの友達じゃないですよ！」
「でも契約書にサインしちゃったんだからさ」
「そんな馬鹿な！！ひどい！！こんなのおかしいよ……！！」
「認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は他者を憎悪するんだよねぇ……」
140216
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