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140字まとめ3



ツイッターでやった診断。キャラ名を入れるとお題が与えられるので、140字のSSを書くというもの。



 匪口『誰も欲しくない』

どうせ何一つ持っていけないんだ。生まれる時そうだったように、死ぬ時も一人。置いて行かれるのはごめんだから、もう誰も欲しくない。
「死ぬ瞬間は一人でも、その先に待っている人がいるよ。生まれてきた君を迎えてくれた人がいるように」
背中に回された腕。温もりは馴染み、耳元で羊水の音を聞いた。



 匪口『嫌味なくらい、できたやつ』

「匪口、頼んだ書類」
「もうできてる」
受け取って確認すると、完璧だった。
「それより先輩の方こそ今日までに提出するのあったよね?」
なんて生意気なガキなんだろう。言葉は返さず書類の端をきっちり揃えて渡すと、指先が触れた。素早く引っ込む手。ふと見た表情は硬く、先ほどまでの薄ら笑いはない。



 赤羽『そう、全てが終わる前に』

赤羽はE組に落ちてから変わった。何かふっきれたように感じるし、今までより目的意識がはっきりしたように思える。ただ、気になるのは少し生き急いでるように感じること。
「ちょっと、こんな所で……」
私の静止の声を飲みこむようなキス。ありもしない距離を埋めようと必死になる姿に不安を煽られる。



 赤羽『死ぬまでの君を全てください』

強く生きるにはビジョンを持って、様々な可能性を考慮する必要がある。
「問題は俺達が暗殺に失敗した時だ」
「地球滅びちゃうもんね」
悩ましげに呟いてはいるが、彼女は恐らく実感がわいていない。でなきゃ平気でいられる訳がないんだ。俺は今、一生分の愛を一年に凝縮する方法が知りたくてたまらない。



 苗木『上手な甘やかし方』

映画館でポップコーンを買おう。何味がいい?と聞かれたから、苗木君は?と返せば、ボクはなんでも好きだよと言われてしまう。本当にいいのかなって、ちょっと不安になりながら、キャラメルが好きだと言えば、嬉しそうな顔して実はボクもキャラメルが一番好きと、とっておきを打ち明けるみたいに笑う。



 折原『黙って泣きやがれ』

臨也がしきりに気にする指先を覗いたら、「ささくれできた」と人差し指を見せてきた。
「親不孝だから」
「そんな迷信、本気にしてるの?お婆ちゃんみたいだね」
一言も二言も多い臨也に腹が立ったので、取ってあげるよと甘皮を掴んだ。手加減なしに引っ張ると、確かな手ごたえと共に「痛い!」と一鳴き。



 折原『手繰り寄せた糸の先』

中々彼氏ができないし、できても続かない。自分に問題があると思っていたら、十人目の彼が別れ際に臨也の名前を出した。
「どういうつもり!」
「冷静になって選んだ方がいいよ」
「何が」
「赤い糸」
立てた小指をへし折ろうとしたら手首を掴まれ引き寄せられた。一つの仮定が浮かぶ。なんて回りくどい。



 十神『嫌味なくらい、できたやつ』

十神の性格を考え、初デートは悲惨なものになると予想していた。ところが歩調を合わせてくれるし、好きな店をみさせてくれるし、気にしていた指輪をいつの間に買ったのか帰り際に渡してくれた。
「優しくて驚いた!」
「女一人満足させられないようでは十神の名は務まらん」
そう言って手を繋ぐ。完璧だ。



 十神『手繰り寄せた糸の先』

クールだと思っていた彼は、意外に熱い男だったらしい。
「俺はお前が好きだ。返事はYESしか受け付けない」
「十神君頭でも打った?」
「残念ながら正常だ。自分でも平凡なお前に惹かれる理由が分からん」
「はぁ」
「だが自分の気持ちに嘘はつけん。身分差はあるが、自力で赤い糸を手繰り寄せるまでだ」



 笹塚『夢だったらよかったのに』

悪夢を見て飛び起きた。大切な物を失う感覚が鮮明に残っている。隣に眠る衛士にしがみついて、体温を一つも取りこぼさないように神経を張る。
「目が覚めたの?」
「うん、怖い夢見た」
「大丈夫、夢だから」
もぞもぞと布団の下で動いて、私を抱きしめ返してくれる。香った煙草の匂いが、眠気を蘇らせた。



 沖田『愛せるなら愛してみろ』

鼻フックされても、瞼に洗濯ばさみを止められても、君を諦めない。すれ違い様に蹴り飛ばされても、使いっぱしりにされても、片時も離れない。全てが挑戦状だと分かっているから戦い続ける。根負けした君が優しくなる日を待って、暴力を愛情に昇華させていく。やっと見せた戸惑いの表情、確信した勝利。



 西『嘘の質量』

おかしな奴だから女を抱くときもさぞかし変わっているのだろうと思ったら、案外優しかった。
「腹掻っ捌いて中身見ても良かッたけど、部屋汚れるのヤだし」
「うん」
「まぁ最終的にはそうするかもな」
壊れ物に触れるように扱っていた癖に、気恥しいのかそんなことを言う西は、今だけは普通の少年だった。

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