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匪口さんが勘付く



リクエスト:事故に遭ったヒロイン

「もしもし、匪口くん?」
『みょうじ!?待ち合わせ何時だと思ってんのさ、今どこにいんの?』
「ごめん、本当にごめん!今……えっと」
『……もしかしてなんかあった?』
「エッ、う、ううん、ただ、今日の待ち合わせ、行けなくなっちゃって……」
『……。ねえ、今どこにいんの?』
「ごめん、怒ってるよね。本当にごめんなさい」
『そうじゃなくてさぁ!なんかあったんでしょ?今どこにいるの?教えてよ』
「……い、家にいるよ!」
『嘘だね。周り騒がしいもん。なんで隠すわけ?正直に言ってよ』
「だって――」
「みょうじさん!出歩かないでください!ご家族の方になら私たちが連絡しますから」
「あっ、すみません……」
「骨折なめちゃだめですよ!折れた骨が体の中にあるって、すごく危険なことなんですからね。いつ肌を突き破って出てきてもおかしくないって状態なこと、忘れないでください!」
「すみませ……」
『おい』
「あっ、き、聞こえた?」
『……骨折したの?なんで?』
「待ち合わせ場所に向かう時、急いでたら階段から落ちちゃって……」
『はぁ〜?』
「ごめんね……!待ち合わせすっぽかしちゃって……」
『バカッ!俺が怒ってんのはそこじゃないから!』
「え……」
『あんたがそうやって隠そうとしてんのがスゲーむかつく!今まで連絡つかなかったのはしょうがないにしてもさ、電話できるようになった時点で頼ってくれていいじゃん!俺のこと信頼してないの?』
「そんなことないよ!」
『そうは思えないんだけど。なんで隠すんだよ』
「め、迷惑かけたくなくて」
『迷惑なんて思わないから。ていうか、どこの病院いるの?』
「××病院……」
『あーはいはい、あそこね。分かった。20分ぐらいで行くから』
「えっ来るの!?」
『迷惑?』
「ううん、嬉しい、けど……こんな間抜けな私に、愛想つかさないの?」
『むしろ逆だね。ほんと俺がいなきゃダメだなって思い直したとこ』
「えっ!」
『とにかく。看護師にも怒られたっぽかったし、安静にして待ってなよ』
「う、うん!」
『じゃあ切るよ』
「ひ、匪口くん!ごめんね!」
『もー謝んなくていいから』
「あ、ありがとう!」


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