心配してくれてたなぁ、少し嬉しいかも

あんな風に、毎日おしゃべりできたらいいのになぁと欲張ってしまう

つい昨日の出来事のように思い出せる、その出来事は私を毎日元気にしてくれるエナジーと化していった

けれど、話しかけてもらえたという事は、私の欲望を刺激してもいた

もっと、おしゃべりして、あの男達みたいに一緒に下校したいと。

「・・・そうだ、リボーンちゃん」

話かけてくれる前、たしか何か言っていたような

いや、違う、待って!そ、そういえば・・・

枕に突っ伏して思い出にふけてた私はガバリッと重大なことに気づく

「これは俺からのプレゼントだ、大事にしろよ」

そう言ってた、そして彼が来て「リボーンなにやってんだよ!」と・・・顔見知り!?

まさかの事実をここで知った、遅い!気づくの遅すぎるよ!

と自分を責め立てていた

やばいよ、どうしょう・・・しかも、「ウチのリボーンが」なんて言っていたような気もしてきた

話しかけてもらえたのが嬉しくて、今の今まで忘れてた!

記憶が繊細によみがえると共に、恐怖も私の心を蝕んでいく

「おまえ、本物のチキンだな」

「だだだって、リボーンちゃんが彼に『アイツ変態だぞ』なんて言ったら」

「事実じゃねーか」

「ひ、否定しきれないけど・・・で、でもってアレ?」

「どうした」

振り向けば、オレンジとブラックのハット帽にきれいなおしゃぶりに自信有り気な口調

もしかして、・・・

「リボーンちゃん!」

「チャオッス」

「なんでウチに、違うよ!そこにいたら危ないよ!」

そんな窓から落ちるスレスレの場所に立座るなんて、しかも優雅にコーヒーブレイク

「今日は日曜日だからな、様子を見にきたんだ」

「え、様子?わ、わかったからそんな所座らないで!落ちちゃったら・・・」

納得してくれたのか、リボーンちゃんは窓から降りてきてくれた、ともかくホッと一息

それにしても、どうしたんだろう

「リボーンちゃん、今日はどうしたの?」

「おまえに悲報だ、ツナが死ぬぞ」

「そうなんだ、ご愁傷様だね」

リボーンちゃんの眉がピクリとする

「反応薄いな」

「え、もしかして私の知人なの?」

「・・・ツナだぞ」

「うん、マグロ・・・って、魚屋さんのおじさん?」

今度はハットを深く被り、溜め息をつかれた。た、確かに商店街には行くけど、
最近はスーパーの方が多いし、あんまり面識ないんだよね

そんなに悪い事かな、やっぱりお葬式とか参加してこなきゃダメだよね

「・・・ダメツナこと沢田綱吉」

「そんな名前だったんだね、おじさん」

「おまえの好きなヤツだぞ」

「ん」

今なんて言ったかな

「この間、会わせてやったろ」

「んん?」

この間、リボーンちゃんが会わせてくれたのは

「いつも勇気がなくて、こそこそ見ることしかできなかった好きな男の子」

「え、あ、あああああああ!!」

彼の名前はじめてしった!

うれしいけど、喜んじゃなダメなのはわかる!バカでも!

「アイツな、残念なことに『ドクロ病』にかかってしまったんだ」

「そそそんな!」

「ドクロ病とは、発病してから二時間で死んでしまう恐ろしい病なんだ」

「は、早く病院に!救急車を呼ばなきゃ!」

「不治の病だ」

終わったぁぁぁあああ!!どうする、私!好きな人が、こんなにもピンチ!

あたふたしているとリボーンちゃんが席をたった

「じゃあな」

「え」

「ちなみにタイムリミットは夕日が沈むまでだ」

そういい残すとさっそうにリボーンちゃんは窓を飛び降りた、と思いきや
緑色の気球に乗ってフワフワと飛んでいった。

最近のおもちゃって、こんなにも進んでいることに驚き隠せない

「・・・沢田くんって言うんだ・・・死んじゃうんだ、今日」


私は、ただただ頭が回らなくて、腰が抜けたまま床に座り込んでいた

何を言われたのか、もうわかりきっているはずなのに、どうしてだろう


これが、放心状態なんだと、ただ実感するしかなかった



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