一撃男 | ナノ


▼ サボテンが最善の予防策

胸高ぶる夢を見て、地底人起こされた

さっそく潰しにかかると地底人とやらは白旗を上げてきた

はぇよ、もう少し粘れよなんて考えてると

上から声がした

「だから、ベランダから外出しないでください!」

「あ、忘れてた…つい、な」

「ついじゃないですよ!洗濯物まだ干してないからいいものの…」

七面鳥の蒸し焼き娘は相変わらずブツクサ言ってた

そして思い出すようにもう一度ベランダから顔をのぞかせて声をかけてきた

「サイタマさん、私の部屋で朝食にしますよ!」

「え」

「どうせ、今月もピンチなんでしょう…」

昨日、やはりしょうゆは切れていたことが発覚したのと
卵かけごはんと言う夕飯を見て、彼女が気を使ってくれていた

たまにだが、こうして彼女は俺の食事を気にかけてくれている


「わりぃな、ごちそうになるわ」

「…理想を追うのもいいですけど、現実も見てくださいよ」

「…ああ、うん」

コイツの料理は、女子にしちゃあ別段上手いってわけでもないが
栄養面では、どことなく気遣ってくれてるらしい

しかし、鮭か…久々に食べたな

「なぁ、おまえ男いねぇの?」

「…サイタマさんには関係ないです」

「まぁ、料理も美味いってわけじゃないが食えなくはねぇし」

「食わなくていいんで謝ってもらえます?ちょっと腹立つんですが」

「だって、おまえ四捨五入したらもうみ」

俺の目玉前に箸があった

「知ってますか、眼玉ってとっても栄養価高いんですよ…?」

俺は怪人でもない一般の女性から恐怖を感じた

それから黙黙と朝食の時間は過ぎて行って、部屋に戻ってひと風呂浴びようと
席を立ち七面鳥の蒸し焼き娘に礼を言う

「今度なんかで詫びるわ」

「なんかじゃなくていいんで、ベランダやめてくださいよ」

「はは、気ぃつけるって」

「あ、そうだ…!待っててください!」

奥の部屋へ入って何かを取ってくる七面鳥の蒸し焼き娘の両手には小さなサボテンが抱えられてた

ずぃっと俺に差し出されたのは、まさに抱えてたサボテンだった

「これ、ベランダに飾ってください」

「え、サボテンをか」

「こうでもしないと、またベランダから外出しそうだし」

「あ〜…わかった」

ベランダ外出を抑えろってことか

まぁ、一応貰っておくか、そうでもしないとコイツ怒りそうだしな

そう思い、そのサボテンを手に取り、自分の部屋へと帰っていった



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