honeybee 80
車に乗り込んだその時、時雨の携帯のバイブがなった。今日は一応試合だったのでマナーモードにしてたのだ。


「もしもし。」
『今どこ?』
「学校だけど。」
『学校!?調度いいや。今からゲーセン行かない?』
「ゲーセン!?いいね〜調度動き足りなかったんだ!」
『じゃぁ決定だね。もうすぐ部活終わるから待ってて。』
「わかったー。」

「じゃ、そーゆー事だから。」
「警察の御用にはなるなよ。」
「ならないよフツーに!」
「じゃぁな。」
「うん。」

ナイスタイミングで携帯が鳴ったので時雨はそのまま車を降りてコートに向かって歩き出した。
夕映えの校舎。この絶妙なコントラストは魅艶に負けた敗北感としばしの疲労によりとても風情がるように感じた。


(教室で待とうかな。)


急遽テニスコートから教室へと方向転換しリョーマにメールを入れる。
のろりと歩くのがまた心地好い。




教室


窓際の自分の席に着席。なんだかんだで自分の席が一番安心するものだ。
机に腕を載せ俯せに。夕日が眩しい校庭に目を向ければテニス部の姿があった。


「あー…明日から学校かぁ…………ねみぃなー…。」


わざとらしく声に出せば教室に響き渡る。
あの騒がしい教室に今は自分しかいないと思うと何だか変な感じだ。


(寝てしまおうか、いや教室って寝ていい時間になると眠れないもの。)


ぼーっと無我で校庭を眺める。意識はない。何も考えずただ眺めた。こんな時間もたまにはいい。
窓を開ければ衝撃音はリアルになって歓声と共にそよ風が教室に吹いた。






*時雨

(あ。)


それから10分経ったか20分経ったか…。いつの間にか視界にリョーマが映っていた。
隣にはみつあみの女の子。あの子ってリョーマと初めて帰った時にいたリョーマの取り巻きだよね。

夕日以上に女の子の顔は赤くて、話の内容はよく聞こえないけどリョーマが恥ずかしがらせる様な事を言っている感じでもない。


「!」


何故顔を赤くしているのか、と、女の子を観察していたら目が合ってしまった。
女の子の様子に気づいたのかリョーマも私も私の方を見る。


「時雨!?」
「やぁ、リョーマ。天下の時雨さんだよ。」


ひらひらと手の平を見せると女の子は驚いような顔をしてリョーマを見た。

あぁ、

何と無く分かった。


この女の子、
リョーマの事好きなんだ。




「可愛いね、名前は?」
「えっ、え?」
「もしかしてスミレ先生のお孫さん?」
「知ってたの?」
「話に聞いてただけだから。上がり性であたしそっくりの可愛い女の子って。クセは手を弄ること。」
「あっ…」


どうやらビンゴらしい。



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