honeybee 79
それから何度も何度も延長戦を重ねる。
「……めん!!」
時雨の集中がほんの一瞬だけ途切れた…魅艶はその瞬間を見逃さない。
バシッ!!!
「やめっ!!」
頭を打たれた。
勝負は魅艶の勝ち。
「負けた…」
「ふー!まさか一本取られるとはな!反則負けしねーの初めてじゃねーか!」
「そりゃー烈と鍛えたもん!反則しないよーに。てゆーか…私が一本取ってからミツヤの雰囲気変わらなかった?」
「マジモードにしたからな。」
「手抜いてたの!? 」
「抜いてねーよ。スキルを使っただけ。」
「スキルってまさか心」
「やっぱりお前持ってたんだな。」
「あったりめーだろ!1位だも〜ん。名雪も凪も持ってるぜ!」
「ナギ…?」
「2位のヤツだ。」
「へー…」
稽古場のど真ん中でそんな話をする。皆試合に圧巻されたようだ。
「スキルがなかったら勝敗わかんなかったな。」
「どうだろーね?絶対リベンジするから!!」
「おう!」
面とタオルを外した魅艶は時雨の頭に手を置いてわしわしと撫でた。(勿論時雨も外している。)
「俺が言うとムカつくかもしんねーけど、時雨は頑張ったよ。強い。」
「………」
「照れてる。」
「五月蝿い!」
「悔しがるのもいいけど自信喪失すんなよ?」
「フンっ自信喪失なんてしないし!闘気がたぎってるね!!烈!修業だ!」
「去年は運転疲れたからパス。折角の日曜がお前のせーで潰れたし。」
「少しは空気読めよー!」
「烈は相変わらずだな〜。」
「帰るぞ。」
「…もう!じゃぁミツヤまたあとで。お騒がせしました。」
「母さんに夕飯は肉がいいって言っといてー」
「オッケー。」
防具と竹刀を倉庫に戻すと時雨は走って烈を追い掛けた。
(本当、強くなったな。時雨。)
道場破り第一弾
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