×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

ナンパって実在するんだ。
私が実際に感じたことはそれに尽きる。
漫画やテレビではよく見かけるけれど実際に3次元で見たことなんてなくてましてやそれが自分に降りかかるなんて思ってもみなかったため「暇ならご飯に行かない?奢るからさ」なんて言われてぽかんとして相手の顔を凝視してしまう。

「そんなに見られると恥ずかしいんだけど?」
「え、あ、すみません…」
「いいよ、君みたいな可愛い子に見られるなら嬉しいし」

そんな甘い言葉を実際に耳にする日が来るなんて。
高杉君が来たら教えてあげなきゃ、ナンパって本当にいるんだよって、教えてあげなきゃ。完全にご飯よりもナンパという存在に驚いてしまっていて相手の質問を無視していたら痺れをきらせたのか手を掴まれてしまった。

「無言は肯定ととっても構わないかな?」
「す、すみません…私これから予定があるので」
「少しぐらい良いじゃん、そんなに時間は取らせないから」
「でも人と約束してるし…」
「人って女の子?じゃあその子も一緒に…」
「悪ィが男だ」

横から聞こえてきた声は彼が不機嫌な時に出すそれで。
私の腕を掴んでいる男の人の手を腕力にものを言わせて外して背中にどす黒いオーラを背負いながら男の人を睨みあげる。

「人の彼女に手出しするたァ随分命知らずじゃねぇか」
「男…ってか腕折れそうなんですけど!?」
「あ?腕の1本も覚悟しないでこいつをナンパしてたってのか、とんだ甘ちゃんだな」
「腕の1本覚悟するナンパってこの世に存在するんですか!?」
「ま、待って高杉君!知らない人に対して坂田君達と同じ力加減にしたら骨が逝くって先生が注意してたから…!!」
「何この人達怖っ!!」

ナンパする相手を間違えたんですけど!と叫びながら男の人は一目散に逃げ出して高杉君はといえば盛大な舌打ちをして私の頬をむぎゅっとつまんだ。

「ちょっと目を離した隙になんでナンパされてんだてめぇは」
「わ、私のせいじゃないのに」
「ぼーっとしてるお前にも非はあんだろうが」
「理不尽だよ高杉君」
「勝手に触られてんじゃねぇよ」

高杉君は私の腕を掴んで赤くなってないか確認するとそのままするすると手を繋ぐ。
そしてその手を引き寄せると私の手の甲に唇を押し付けた。

「へ!?」
「てめぇにゃ首輪か何か必要だな、変なやつばっかりホイホイしやがって」
「変なやつばっかり…ってホイホイしてないよ」
「いや、身をもって知ってんだよ俺は」
「?」
「身内にもやべぇ奴らがいるのに外でもなんてごめんだ」

何を言っているのかよく分からないけど、手を繋いでいる高杉君が少し嬉しそうに笑うからこのままでいいやと笑えば「なにヘラヘラしてんだバカ」と小突かれてしまった。

*前 次#