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「ここ、お酒たくさん貯蔵してあったみたい」

酒の瓶を持ちながらへら、と笑う名前。
幕軍の移動に合わせて拠点を変えるべく選んだ場所は以前よりも作りがしっかりしている場所だった。
台所へ行くと酒と米が大量に貯蔵されていたため今日は皆浴びるように飲めるだろう。それを見た銀時は「おーよく見つけたな」と名前の頭をわしわしと撫でた。

「つかせっかくだしお前も飲めば?」
「えっ……私は、いいかな」
「お前いっつも飲まねーじゃん」
「でも、お酒は二十歳になってからですよって先生が……」
「そこで先生引き合いに出してくるあたりお前ほんとに真面目だよね、てかやめてね、言わないでね飲んでること」
「…………」
「だからさ、たまには何もかも忘れて飲んでもいんじゃねぇの?お前頑張ってるし」

そんなこんなで夕飯のあと、皆が飲んでいる中で私は目の前に置かれたお酒をまじまじと見つめていた。コップに半分ほど注がれたそれは、水のようにも見えるが間違いなくお酒。
他の皆はもうとっくに飲んで出来上がってる。
いいのかな、でも自分まだ二十歳じゃないし。

「飲まねーの?」

トン、と隣に座る坂田君の顔はうっすらと赤くてもう酔っているのが分かった。ふんわり香ってくるお酒の匂いはやっぱり苦手で。

「ちょっと、怖い、かなって…」
「まあ最初はなー」

そう言いながらぐびっと自分の分を飲む坂田君、大丈夫なのかな、具合悪くなったりしないのかな。

「でも飲めるときに飲んどけよ、飲めねぇなら……飲ましてもいんだぜ?」

低い声が耳元をくすぐった。
飲ませても?飲ませてもって……
コップを口に突っ込まれる事を想像してしまって慌てて坂田君を止めようとした手を逆に握られる、疑問に思いながら顔を上げると熱を孕んでトロンとした赤い瞳と目が合って固まってしまった。

「さか、……ん!」

ぴったりと合わさった唇のすきまから液体が滑り込んでくる。苦いのか、甘いのかよくわからないその液体は吐き出すことも出来ずに喉の奥に滑り込んだ。
驚いて離れようにも坂田君の手がガッチリと後頭部に回っていて動けない、

「っん、んーーー!!」
「は、…………うまい?」

味なんて分かるわけない。
湿った唇をペロリと舐める坂田君が色っぽすぎてもうどうすれば良いのか分からない、そうしている間にも坂田君はまた頬に手を添えてきた。

「なぁらび、……うまかった?」
「ちょ、ま、さかたく……」
「何しとるんだ貴様はああああ!!!」
「ぐごはぁ!!!」

あともう少しでまた重なる、というところで桂君の踵落としが坂田君の脳天にきまる。
バクバクしている心臓の音を聞きながら目の前に沈んだ坂田君を見つめたがピクリとも動かない、どうやら気絶したみたいだ。

「お前は本当に破廉恥な…!!酔った勢いでらびに迫るなど……恥を知れ!!」
「おい、こいつこのまま外に捨てようぜ。良い思い出を胸に旅立ってもらおうじゃねぇの」

高杉君まで坂田君の背中をぐりぐりと踏みにじっている。
まだ熱い顔、上がる心拍数、ああ……お酒の力かな。頭がふわふわする。そんな私の様子に気付いたのか桂君は慌てて近寄ってきた。

「お、おいらび、大丈夫か?」
「お前一口で酔ったのか?」
「さかた、くん」
「………………呼んだ?」
「寝てろ天パ、らびに近付くんじゃねぇ」
「いや大丈夫、酔い覚めたから。生まれ変わった並みに頭冴えてるから」
「さかたくん、……」

ふわふわしてるから、何しても恥ずかしくないかもしれない。起き上がった坂田君の首元にえい、と抱き付いてしまえ。
頬にあたる髪がふわふわでくすぐったい。

「え、ちょ、何これ何これ、ご褒美?何のご褒美なのこれ?」
「しっかりしないと、だめだよ……」

ああ、もうダメだ。
おやすみなさい。

自分に抱きついたまま眠ったらびの背中を支えながらため息をつく。何だこれ、拷問か。
口移しで酒飲ませた罰か、しかもそこは嘘でも好きとか言うパターンだろ、しっかりしてってなんだよ。

「へいへい」

眠るらびの額に口付けを落として、気付いた。
目の前にいるこの世で一番めんどくさい2人の存在を。

「お前は一度ならず二度までも……切腹しろおおおお!!!」
「切腹するまでもねぇ、首を斬り落としてやる」

あーあー、嫉妬とは情けねぇ。
こいつ起きるから騒ぐなよな、なんて思いつつもスヤスヤ寝てるこいつを離すのはなんつーか男として出来ないから片手で抱き締めたまま相手してやろうと思った。

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