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戦況が落ち着いてきて様子を探りがてらこちらも療養する事になった。
いつもより入念に刀の手入れをして外へと出ると、茂みががさりと動いたのが見えた。素早く刀を抜いて様子を伺う、

「……誰だ」
「あ、待って待って桂君、ごめんね」

ひょっこりと顔を出したのは着物の裾に土をつけたらびだった。
その姿に俺はため息をついて刀を鞘へと納める、先程から姿が見えないと思っていたが何をしたいたんだこいつは。ここはまだ戦場、先生から教えて頂いた剣術を身に付けているとはいえそれは最低限の護身術で恐らく刀を持っていない銀時や高杉にも簡単に丸め込まれるだろう。

「どこかへ行く時は俺や銀時達を連れていけと言っただろう、何かあったらどうする」
「ごめんなさい…傷に効く薬草を採りに行ってたの」
「怒っているわけではない、だが心配して………………らび、それは?」
「…怪我してたみたいで、拾ってきちゃった」

申し訳なさそうに顔を伏せるらびの腕の中にいるのは、真っ白なうさぎ。かなり小さいから恐らくまだ子供だろう。
その白い足は少し赤くなっていた。

「その、手当てしてあげたくて…」
「(…うさぎが2羽)」

しょんとしているらびとその腕の中で震えている子うさぎを見ていたら戻してきなさい!とは言えないので「早く手当てをしてやれ」と促す。
銀時や坂本に見つかったら大変だ、鍋にしろとでも言いかねない。高杉も捨ててこいとさらりと言うだろう。俺の言葉にらびはぱぁ、と顔を輝かせると腰を下ろして巾着の中を漁り始めた。そして薬草を一枚取り出すと慣れた手つきでうさぎの足に刷り込む。

「よしよし、良い子だね」
「……うまいものだな」
「皆の手当てたくさんしてきたから」
「ああ、いつも助かっている」
「あとは固定して……できた」

手当てが済んだのを感じたのか子うさぎはらびにすりよる。

「ふふ、可愛い」

楽しそうに微笑んで子うさぎの頭を撫でるらび。ああ、やっぱり彼女はこうしているのが一番似合っている。

「ああ、……可愛いものだな」
「桂君可愛い物好きだよね」

伝わっていないが、まあ良しとする。
この戦争が終わって、またあの日々に戻れたならば今度は彼女に女性らしい物の一つや二つ与えてやりたい。

「らび、俺にも触らせてくれないか?」
「うん、どうぞ!」

そしてその笑顔が俺に向けられれば、それは幸せな事なのだろう。

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