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幕軍は痛手を負い、攻め入る人員も武器も気力もないという情報が入りこちらも療養に努める事にした。
ゆっくり眠る者がいれば少し歩いて町へ行く者もいる、各々の時間を過ごしてゆっくりする日。だったのだが…

「てめぇは何をしてんだァァァア!!」

元気が有り余っているいつもの3人は、喧嘩も全力だった。

「ヅラァ!てめぇはおにぎりに何を入れてんだ!!」
「……甘ェ、餡子か?」
「疲れている時には甘い物だろう、銀時に習って甘いものを作ってみた」
「てめっ、作ってみたじゃねぇよ貴重な食料で遊んでんじゃねぇよ小学生か!!」
「小学生じゃない桂だ」
「ヅラ、100歩譲って餡は良いとしてもイチゴはねぇだろ……」
「おはぎやイチゴ大福感覚で行けると思うのだが」
「だから食料無駄にすんなっつってんだよ!お前あれだよ!?餡子とイチゴと餅あったらイチゴ大福とか善財とか出来たよ!!?」
「てめぇも食料無駄にする気満々じゃねーか」

うるせー!と言って坂田君は餡子入りおにぎりを桂君の顔面に叩きつける。「食べ物を粗末にするなと言ってるでしょーが!」「てめぇが一番粗末にしてんだろうが謝れ!餡子と俺に謝れ!」「俺はもういらねぇから銀時食っとけ」といつもの喧嘩か始まってしまった。桂君が朝早くから台所に立ってたのはその為だったのか、でも餡子のおにぎりはさすがに…
餡子、餅、イチゴ…………餅、餅?
私はあることを思い出して台所へと急いだ。

____…

「ったくよぉ…あいつら甘味をバカにしてんだろ」

得たいの知れない物を食べた胃は妙に重たい、あのあと高杉の野郎が押し付けたおにぎりを偶然その場にいた坂本に押し付けて何とかあの場から逃げてきた。

「あー…甘いもの食いてー」
「あ、坂田君!」

ふと、後ろから声が聞こえて振り返れば何かを持ったらびが走ってくる。
歩いていた足を止めてここに到達するのを待てば、「これ」と何かを差し出してきた。

「……?」

小さな手のひらにのってるのは、白い物。
この見た目、柔らかさ、匂い、俺が間違える筈がない。

「大福……?」

そう呟けばそうだよ、と嬉しそうに笑うらび。やべ、可愛い。

「お餅残ってたの思い出したの、量が少なくて一個しか出来なかったから坂田君にあげる」
「え?まじで?いいの?」
「うん!だって坂田君甘いもの好きでしょ?でも皆には内緒ね?」

するするもちろんする。
この大福の事もお前のその笑顔がやばいぐらい可愛かった事も墓場まで持ってく。
俺はらびから大福を受け取って、半分にわった。そして片方はらびの手へと戻してやる。

「……?」
「内緒にすっから、お前も共犯な」
「えへへ、完全犯罪だね」

こいつがいる時は、心がやすらぐ。
この大嫌いな世界の中で小さな幸せをお前と半分こ。
そしたらお前はその倍は幸せそうな顔で笑ってくれた。

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