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朝の仕込みが終わったら体や頭を軽く流して着流しに着替えて部屋に入る。そして縛っていた髪をほどいて軽くストレッチして横になって、目を閉じる。何の事はない、いつもと同じ習慣だったのだが何やら廊下がバタバタと騒がしい。
ここを拠点とした時に桂君が気を利かせて一人部屋を割り当てて襖の代わりに布をカーテン代わりに掛けてくれたので姿は見えない、他の人達はあまりこの近くは来ないはず。体を半分起こして掛けられたカーテンの向こう側を見つめていたら、

「らび、……起きているか?」
「……桂君?」

そこにいたのは意外にも桂君だった。
躊躇いがちに言われた言葉、昔から紳士気質で真面目な彼が夜中に訪ねてくるなんてめずらしい。

「その、なんだ、…」
「あの、桂君入ってきていいよ?寒いでしょ?」
「いや!いくら幼馴染みとはいえ仮にも男女が同じ部屋で寝るのはまずいだろう!!」
「え、ここで寝るつもりだったの?」
「あ、いや、……」
「…とりあえず入ってきていいよ」

そう言えば「失礼する」と言っておずおずと入ってくる、ちゃんと寝間着着てるし多分寝ていたのだろう。布団から離れた位置に座って咳払いを一つ。

「どうしたの?」
「……お前は、俺や銀時や高杉がいない時に…坂本に何もされていないだろうな」
「…………辰馬さん?」
「何も考えずに答えろ、はいかいいえで答えろ、考えるな感じるんだ」
「え、あの、意味がわからないけど。……何もされてないよ?」
「本当か?一ミリたりともか?お前に指一本触れていないのか?」
「や、……たまに頭をこう、わしゃわしゃーってされるけど」
「頭を撫でられただと!?不埒な!!」
「え、ふらち……?というか頭撫でられるのそんなにダメ?」

何に顔を真っ赤にして怒っているのか分からなくて首を傾げれば桂君はまた咳払いを一つ。
頭撫でられるの、好きなんだけどな。
辰馬さんに限った話じゃなくて、坂田君にも高杉君にももちろん桂君にも、頭を撫でられるのは嬉しい。

「坂本はああ見えて女遊びが激しい奴であって…先程もお前の事を可愛いだの嫁にしてみたいだのと…。だからお前はあまり無防備にされると困るのだ」
「……桂君達は?」
「?」
「桂君達にも、警戒した方が良い?」
「…………そう、……いうわけではない」
「……難しい」
「困らせるつもりでは、ないのだ。ただ、…」
「ただ?」
「俺とて、お前に…」
「私に?」
「触れたいと、…甘えたいと思う時もある」

顔をそらしているけど、長い髪から覗く首や耳は真っ赤で何だか私まで伝染してくる。
どっちかというと桂君は高杉君と坂田君の喧嘩の仲裁役や坂田君の奇襲や無茶ぶりの片付けをよくしていた、お母さんポジションの彼は誰かに甘えられたり頼りにされる事が多いからガス抜きが難しいのかもしれない。

「桂君」
「………………」
「子守唄、歌ってあげようか?」
「子守唄?」
「昔歌ってあげてた子守唄、覚えてる?」
「…頼んでも、いいのか?」
「もちろん」
「……ならば、頼む。俺が寝るまでだぞ」
「うん」

君が休めるなら、声が掠れるまで歌いましょう。

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