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「#エロ」のBL小説を読む
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※性描写を含むので18歳以下の方は閲覧なさらないようお願いします。

気持ちいいと教えられた。
それがどのような快楽なのかは知らないけれど、私にとってそれは快楽を越えた何かでしかないように思える。

「っ、ふぁ……あ」

高杉さんの指が少しでも動くたびにお世辞にもスタイルが良いとは言えない体がひくついた。体の奥底が疼いて、情欲の火が燻るのが分かる。
自分がこんな厭らしい事を考える人間だったなんて思いたくないけど、目の前のこの人に欲情しているのも事実だ。

「なまえ」
「うぁ、あっ……!」

鼓膜を震わせる低い声に全身が反応する。
鍛え上げられたたくましい体に額をすりつけて、おでこに張り付いた髪の毛が少し鬱陶しくて払おうとした手が高杉さんに掴まれる。溶け出しそうな愛撫は終わったのだろうか、これ以上の快楽を与えられたら私は私でいられるのかな。

少しだけ、怖いです。
私の知らない世界に足を踏み入れるのは。

「こっち向け…」
「ん、ぅ……」

ああ、本当に溶かされてしまいそうです。
舌も、唇も、吐息も全て。
唇が離れてから見たすぐ近くにある高杉さんの目に写っている自分の顔があまりに艶めかしくて、見ていられない。そんな顔を高杉さんが見ているのも耐えられなくて腕で隠そうとした。

「……おい、何しようとしてんだ」
「見、られるの、やです」
「見せろ」
「や、です」

ゆるりと首を振って嫌だと意思表示を示した瞬間に下半身に強い圧迫感が襲った。

「まっ、て……たか、す、ぎさ……っあ!」
「待たねぇ、っ……おい、力抜け」

力抜けって、こんなに、苦しいのに。
痛みの間際に感じるのは確かな快楽、でもこれは、気持ちいいと思えるのか分からない。頭ではそんな事考えてるけど体は浅ましく、厭らしく、反応した。

「ふ、ぁ……んっ、あ」

喘いでいる声すらも自分の声に聞こえなくて意識が曖昧になり、高杉さんにすがりつく手が震えてそこからどろどろに溶け合う感覚に陥った。
強烈な快楽に身を委ねて良いのか分からなくて、怖くて、高杉さんの首に腕を回す。

「っ、ん……!」

高杉さんの動きが止まった。
浅く息を繰り返す私の額にキスをして「平気か」と聞いてくる高杉さんの目はひどく優しくて、そっと包帯で覆われているもう片方の目に手を伸ばす。痛みはもう、ない。あるのは、どろどろに溶け合った快楽。

「気持ち、…い…ですか」
「……」

私だけじゃ、嫌だ。一緒がいい。
優しくしてくれているのは分かってる。
我慢しているのも分かってる。
そんな事を気にせずにめちゃくちゃにしてくれても、高杉さんなら構わないしもしかしたら怖いなんて感情も消えるかもしれない。でも初めてなのにそんな風にされたら触れられるのも躊躇うかもしれないなんて、矛盾してる。
高杉さんは黙っていたがやがて私の頬を掴んで唇に噛みついてきた。

「ふ、っ……んぅ」
「……よくねぇと、続けようとするかよ」
「あっ、ひぁ……!」

ぐちゅり、また一つ奥へと進んだ感覚に背中が仰け反る。高杉さんの手を強く握り締めて燻る快楽をやり過ごそうとするがゆるゆると動かされて火は燃え上がる一方だ。

「んっ、ゃ……ふぁ!」
「誰にも見せた事ねぇお前の顔、俺に見せてみろよ」

ああ、目眩がする。何も考えられないぐらい。
でもさっきとは違う、怖くない。
全てを奪われてしまいたい、このまま委ねてしまいたい。ただ、それだけ。

私は与えられる快感に身を任せようとそっと目を閉じた。

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