電話

仕事を終え、いつものように総悟にメールを入れようとケータイを手にすると知らない番号からの電話。
何も考えず、通話ボタンを押す。


「もしもし?」

「あぁ...華か?」


低音な声、一言話ただけで声の主が3年間片思いしていた相手、坂田銀時である事を認識出来た。


「銀さん...?」

「おう、元気してっか?」

「うん、元気だよ。どうしたの?いきなり電話なんか...」

「いや...特に用事はねぇんだが。声聞いたら、元気そうで安心した」


しばらく無言が続くと、銀さんの方から話を降られる。


「同じ歌舞伎町に住んでんのに、なかなか会わねぇな」

「そうだね...。歌舞伎町は広いから」

「お前さ...まだ、沖田君と付き合ってんの?」

「付き合ってるよ。銀さんは...彼女が出来て結婚したとか聞いたけど...」


私のセリフに、結婚!?と声をあげる。
オレ、ずっとフリーだからそれはない!!と必死に否定された。


「なんか、忍者の方と結婚したとかなんとかって...」

「だぁあ!!それ、違うから!!信じるんじゃねーぞ!!」


そうなんだ。と一言もらし、また無言が続く。


「あのよ...彼氏いる事分かってんだけどよ、今度暇があったら飲みに行かねぇ?」


銀さんの一言に動揺したものの、私の口はいいよ。と即答してしまう。


「マジか...。んじゃ、また連絡する」

「...わかった。じゃあね」


電話を切ると胸のドキドキは収まらなかった。
銀さんとの3年間、私は付き合ってくれと何回かお願いした。
けど、銀さんはいつも微笑みながらごめんな。としか返してくれなかった。
そんな人が、今更なんで電話なんてよこしたのだろう。
今、気持ちは総悟にあるはずなのに、心が揺れているのが怖かった。

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