#再会

許嫁やら、なんやらの話を忘れたくていつもより早めに出勤した。


「おはようございまーす」

挨拶して店のバックヤードに入ると髪を巻き巻きしてるお姉様達がちらほら来ていた。
私も髪をセットしようとドレッサーの前に腰をかけた。


「みくちゃん、おはよう」


隣に腰かけて来たのはお妙ちゃん。
(ある意味)凄腕のキャバ嬢である。


「お妙ちゃん、おはよ!あ、簪おニューでしょ〜?」


分かる?と微笑んでいるお妙ちゃん。
可愛いいなぁおい。
あ、ちなみにみくというのは、私の源氏名ね。


「あ、そうそう今日私とみくちゃん指名が入るからよろしくお願いしますね」

「指名?真選組関係の人じゃないよね?」


そう、私は歌舞伎町に来てから真選組という存在を避けて来た。
近藤さんや、土方さん、そして沖田総悟が真選組にいるのは知っていた。昔馴染みに会いたいという気持ちはあったのだが、どーしてもアイツに関わりたくなかったから。
幼少期のトラウマって怖いよね。


「真選組本当に嫌いよね。ゴリラが来た時一緒についてほしいのに」

「ははっ....ごめんね?」


笑ってごまかすとお妙ちゃんは、それ以上何も聞いて来なかった。
髪をセットしながら雑談していると営業時間がスタートした。


「よぉ〜、華ちゃん」


本名を呼ばれビックリしながら振り向くと、銀さんと長谷川さんの二人組。
どうやら、お妙ちゃんが無理矢理指名させたみたいね。


「久しぶり〜!指名してくれたのって銀さん?」

「おう。アイツに言われてな。...って悪ぃ、ここではみくちゃんだったな」

「別にどっちでもいいよ。銀さんは特別だから」


嬉しい事言ってくれるねー。と頭を撫でられる。
あ、ちなみにコレ営業トークだからね。


「お妙ちゃん!こっちこっち!」


長谷川さんが手招きしてお妙ちゃんを呼ぶ。
4人揃ったところで


「長谷川さん、銀さん私ぃ〜喉が乾いたドン」


このドンは、お妙ちゃんからの合図。


「銀さん〜喉カラカラペリ〜」

「華ちゃん?なんか語尾に開国した人の名前が入ってるよ?」

「長谷川さん、お飲み物いただきますドン」

「ぎぎぎぎ銀さん!!!お妙ちゃんの語尾が太鼓の達人にぃぃいぃ!!!!!!!」

「いただきます。ペリー」

「あ、喉乾いてるんだよね...?ほら、俺たち焼酎キープしたばっかだか『バキィイイ』ドンペリ持って来ておにいさん早くぅううぅう!!!!!!」


お妙ちゃんの必殺テーブル割りを見た銀さんと長谷川さんがドンペリを入れてくれた。ラッキー!!
何事もなかったようにテーブルを片付けてくれるボーイさん。これが当たり前になっていいのか?とも思ったがドンペリが飲めるならいいか。


「「「「かんぱ〜いっ」」」」


ドンペリってお金にはなるけど、美味しくないなーといつも思う。
アルコール度数低い割に酔いが回るの早いしね。
お妙ちゃんの方を見るともう5本は飲めるわね。と合図された。
二日酔いの後のドンペリは、キツイがお仕事だからな。

お妙ちゃんは、長谷川さんに直瓶一気をさせ、あっという間に1本空いた。
2本目、3本目、気づいたらテーブルには何本ものドンペリが空いていた。


長谷川さんは、エアーギターで歌い出すし、お妙ちゃんは演舞はじめ出すし、銀さんは焼酎をドンペリで割り出すしそれぞれ限界突破をしていた。

私?私は銀さんの膝の上に乗ってドンペリを焼酎で割ってるところ。


「ところ。じゃねーよ!!!!ドンペリは、焼酎で割る物じゃないからね!!てか、なんでオレの膝に乗ってんだぁ!!出来れば裸で馬乗りになっ「テメェェエェ!!!!みくちゃんになにしてんだアァアァァ!!!」


お妙ちゃんの膝蹴りが銀さんの顔面に直撃。パチパチと拍手をしていると、店長から呼び出された。


「君たち2人もう、上がって。お願いだから」

「やたー!あがれるー。銀さん、長谷川さん!!どっか飲み行きましょう!」

「みくちゃん、そういうことは僕がいない時にいってね」

「そーですね!」

「タモさんアワー??もう、お願いだから帰って!本当に」


銀さんと長谷川さんも帰る(お金大丈夫かな?)との事で店の前で待ち合わせをして荷物を取りにバックヤードに入った。


「みくちゃ...私....無理....」


バックヤードのソファーに倒れこんだまま動かなくなるお妙ちゃん。


「う...嘘.....お妙ちゃん?お妙ちゃアァアァァ「うるせエェエェ!!!静かに寝かせろぉお!!!」すみませんでした」


お妙ちゃんの面倒は店長と、ボーイさん達が見てくれるみたいなので、銀さんと長谷川さんの元に急いだ。


「お待た..........」

「華ちゃん、大丈夫全然待ってないよ」

「さあ、居酒屋かどっかで飲み直そうぜ」

「お疲れ様でした〜」

「ちょ!!おじさん達を見捨てないで!!!お願いぃいぃ!!」

「話しかけないでください。貴方達の様なマダオ私は知りません」

「テメー!!!誰のせいでこんな格好になったと思ってんだアァアァァ!!!!」

「私はパンいちのマダオに知り合いはいません。知り合いと思われたくないので話しかけないで下さい」

「なにこの子!!お店の時と人がかわったんですけど!!」

「はいはい、酔っ払いのマダオさん達そんな格好で騒ぐと警察にしょっぴかれますよ」

「はーい。そこのマダオ2人公然わいせつ罪でしょっぴかせていただきやーす」

「ほらね、言わんこっちゃ........」


後ろを振り向くと隊服を着た栗毛の男の子。
わたしが、2年間関わらないようにしたアイツじゃないよね?
まさかね。そんな運命の出会いいらないからね。


「なんで今日に限って仕事してるの?......沖田君」


もうやだ。
銀さんの一言で全ての希望が打ち砕かれた。
マダオとかかわるからこんな事になるのか。


「いやー、パンいちのマダオがウロウロしてるって言う通報がありやしてねィ。しかもそのマダオが白髪の天パーとグラサンの2人組って言うんで面白そうだったんで来てみたんでさァ」


銀さん達ともめてる今なら逃げれるか...?
走り出そうとした瞬間。


「どこ行くんでィ?」


手首をガシッと掴まれた。


「いやっ、私、関係、ない」


精一杯の抵抗。
下顎をしゃくらせ、なるべく目線を合わせないようにした。


「うわー。すげーブスでさァ。こりゃあアンタも、顔面不細工罪で捕まえないといけませんねィ」

「誰が顔面不細工罪だァァア!!!!」


ツッコミをいれたと同時にしゃくれが取れる。
しまったと思ったが、沖田総悟は私に気づいてはいなさそうだった。


「アンタも一緒に来てもらいやすぜィ」


銀さん、長谷川さん、私は何故か手錠をかけられパトカーで連行されるのであった。


「てか、私!なんで、逮捕されなきゃいけないの!!!???」

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