1.もしもし、俺だけど


そろそろ寝ようかと、パジャマに着替えていたときだった。
軽快な音楽とともに携帯が振動している。スマホの画面を見れば恋人でもあるピアーズからだ。

「もしもし、俺だけど」
「どうしたの? こんな時間に…」

「あぁ、そうか時差があるんだったな。明日から中国に行くからしばらく会えなくなる」
「また、バイオテロが起きたんだ…」

ピアーズの仕事のことは詳しく聞かされたことがないため、詳しいことは分からない。ただ、分かることと言えば、バイオテロを制圧していることだろう。それと、とても危険な仕事だということ。

本当は、行って欲しくなんかない。
でも、彼らが制圧しなければ、私たちは立ち向かう術を持っていないため成す術もなく、死んでしまうだろう。


「そういえば、隊長は見つかったの?」
「今日見つかったよ」
「そっか、良かったね。って、今国外なの!? 国際電話って、料金が高くなるよ!」
「ちょっ、金のことなら気にするな。ハルは心配性だな」

電話越しにピアーズの笑い声が聞こえる。少しだけ恥ずかしくなる。



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