2.声、聞きたいと思って


今の時間、ハルは起きているだろうか。駄目元で電話を掛けてみれば数コール呼び出した後、ハルが出た。
俺は、久しぶりに聞いたハルの声に安心した。多分、口元は緩んでいるだろう。

通話料金のことで心配するハルに驚くも我慢できずに吹き出してしまった。

散々笑った後、

「声が聞きたかったんだ」

「声?」

疑問そうな声に「ああ」と答えた。驚いた声、嬉しそうな声すべての声が愛おしい。勿論、一番愛おしいのはハル自身なのだが、会えない今は声で満足するしかない。

「ピアーズ」

ハルが俺の名前を呼ぶ。

「どうした?」

「大丈夫だよね? ちゃんと、帰ってくるよね!?」

珍しく声を荒げるハルに驚き、携帯を落としそうになるも、ハルを落ち着かせるように優しく言う。

「当たり前だろ。ちゃんと帰ってくるさ、やっぱりあんたは心配性だな」
「だって…、ううん。ピアーズだから、心配するんだよ」


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