ご招待!
圭くんの発言に笑っていた結紀だったけど、圭くんが発したバカという言葉に、眉を吊り上げる。
……いっくんって、もしかして今日話が上がってた、圭くんの親衛隊長さんのこと?
圭くんってば、顔が薄っすらと青ざめてる。
「ああ? どの口が言ってんだボケ。てめーなんてさっさとあのイカレクソ野郎に捕まっちまえクズ」
「おいっ、友達にそんなこと言うなんて最低だぞ結紀! 圭介に謝れよ!」
「うるせぇ、クズにクズって言ってなにがわりぃんだ。黙れ、勘違いしかできねえカスが。てめえみたいなのが俺に話しかけんじゃねえよ。圭介とは別の意味で腐るぜ」
わわぁ、相変わらず結紀のずけずけと容赦ない暴言に、僕も一歩下がってしまう。
面と向かって言われた空に至っては、泣きそうに顔を歪ませていた。
「……はあ、そこまでにしなさい。一体ここをどこだと思ってるんですか? 場所をわきまえなさい」
それまで、後ろで様子を窺っていた潤さんが、仕方なさそうに皆に注意する。そんな潤さんに、空が希望に満ちた目を向けた。
「じゅ、潤! 聞いてくれよっ、こいつらひどいんだっ、俺の気が引きたいからってさっきから――」
「まあ、僕も全面的に同意見ですけどね。というかこの物体の声を聞くだけで虫唾が走りますよ、不快すぎて」
結紀じゃないですけど、耳が腐りそうです。ふふっと笑いながら、さらっと吐き捨てた言葉に、さすがの空も言葉を失ったらしい。
なんだか、笑っているはずの潤さんの背後にブリザードが見えるのは、僕だけ? ううん、この場の温度が2、3度下がった気がしたのは僕だけじゃないはず。
「――んでだよぉっ、ぐすっ、なっ、なんで、そんなひどいこと、言うんだよぉっ、最低だ! うわぁあんっ」
「……うるさい。お前……気持ちわるい」
「っ、わぁあんっ、うあっ、あぁあ! お前らっ、さっ、最低だぁっ、あ、謝っても、許さない、からなぁっ!」
吉乃さんが放ったとどめに、大声を上げて泣き叫びながら、空が走り去っていった。弟のあまりに騒々しい泣き声に、僕ですら少し不快になったんだから、周りには一体どれほどの不快感を与えてしまったんだろう?
一応僕は兄だから、もうしわけなくて眉を下げてしょぼんとしていたんだけど、ここになにしに来ていたか思い出してはっと顔を上げた。そうするとちょうど僕のほうを見ていた新さんと目が合った。
- 130 -
[*前] | [次#]
(18/55)
←戻る