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とっさに竜也の携帯を開いた。罪悪感なんて今感じる必要があるだろうか。
でも携帯にはロックがかかっていて、竜也の誕生日とか書き方をかえて何度も何度も試してみたけれどそれはけして解除されることはなかった。
じゃあなにをパスワードにしているの?俺が知らないなにかがパスワードになってる!なんで?どうして?俺に見られたら困るものがあるから!

俺は部屋を飛び出して、すぐに玄関まで走っていく。
ぶっ飛ばしてやる、竜也に痕をつけたどこぞやの女。ぶっ飛ばすだけじゃなくてもう、とにかく酷い目に合わせて最後にはどっかのオヤジに身を売り飛ばしてやる!
靴を履いて取っ手に手を伸ばしたところでようやっと動きを止めた。
俺はそいつの居場所を知らなかった。

「…ぅ、あ……」

靴を履いたままで再びしゃがみ込む。
なんどか息を吐くと初めてそこで、涙が溢れてきた。

「竜也……っ」

信じ切っていた、浮気なんか絶対にされないって。
どうして?
いつから?
俺には飽きたの?
俺、なにがいけなかったのかな。
わからないんだ、今の自分の感情にさえ驚いているんだから。

ポツポツと落ちる涙がタイルの色を濃くしていく。
いやだ、浮気なんて絶対に。
お願いだからここにいて、どこにも行かないで。

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