08 1/3 …ガタン‥ ─はっ 物音がして目を覚ました。そうだ俺リビングで寝てたんだ。 物音は玄関のほうから聞こえてくるらしい、‥柚麻だ。 「…っ!…23時…」 こんな時間まで何してたんだ、どんだけ遠くまで買い物…! 起き上がって涎拭いてたら、柚麻が入ってきた。 「!…柚麻っ」 「……竜也、帰ってたの」 「どこ行ってたんだよ…!今何時かわかってるのか!?」 それ、俺が言えるのかって話だけど。柚麻は無表情で俺を見ずに、背を向けてテレビの前に座り込んだ。 「柚麻…?おい、聞いてるのか?」 「………て、きた」 「ん?…どうした」 やっと答えた声が震えてたから、俺はなるべく優しく聞いて、後ろから顔を覗き込んだ、ら、泣いていた。 いつの間に。痛々しく顔を歪めて頬と鼻を真っ赤にして、声を押し殺して泣いていた。 「浮気…してきた」 「…は、?」 「大学のひとと、…してきたよ、」 弱々しい声だった。 そしてとても悲しい、それを聞いて俺の中で心臓が止まった、と思った。 浮気?そんなまさか柚麻が、俺以外の人と? すん、と鼻のなる音がする。 *前 次# ← |