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…ガタン‥

─はっ
物音がして目を覚ました。そうだ俺リビングで寝てたんだ。
物音は玄関のほうから聞こえてくるらしい、‥柚麻だ。

「…っ!…23時…」

こんな時間まで何してたんだ、どんだけ遠くまで買い物…!
起き上がって涎拭いてたら、柚麻が入ってきた。

「!…柚麻っ」
「……竜也、帰ってたの」
「どこ行ってたんだよ…!今何時かわかってるのか!?」

それ、俺が言えるのかって話だけど。柚麻は無表情で俺を見ずに、背を向けてテレビの前に座り込んだ。

「柚麻…?おい、聞いてるのか?」
「………て、きた」
「ん?…どうした」

やっと答えた声が震えてたから、俺はなるべく優しく聞いて、後ろから顔を覗き込んだ、ら、泣いていた。
いつの間に。痛々しく顔を歪めて頬と鼻を真っ赤にして、声を押し殺して泣いていた。

「浮気…してきた」
「…は、?」
「大学のひとと、…してきたよ、」

弱々しい声だった。
そしてとても悲しい、それを聞いて俺の中で心臓が止まった、と思った。
浮気?そんなまさか柚麻が、俺以外の人と?
すん、と鼻のなる音がする。

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