04 1/3

目が覚めた場所はリビングだった。カーペットの上で、布団もかけずに寝ていた。

「う…」

体が痛い。ちゃんとベッドで寝れば良かった。

「竜也…は」

夢じゃない。
夢なわけない。この家には俺しかいない。

俺が寝坊したら竜也は朝ご飯を作ってくれていて
柚麻おはよう、また寝坊だねって笑ってくれた。
でも今日はそれがなくて、当たり前だけど、でも当たり前にはしたくない。当たり前になってほしくない。

竜也はどこにいったんだろう。瞼が腫れてる。
手首は痛い。

竜也がいない、もう死にたい
死なない理由がない






しかしそんなことがあったってなくたって俺には大学があってバイトもあって
あとゴミ捨てとか
なんとか自分を奮い立たせて全部全部休まなかった。
辛いけど、すくなくとも行かないよりは気分が紛れるから。
紛れすぎてなくなるのも、嫌だけど‥



バイトの帰りに、すっかり暗くなった道を1人で歩いていく。
前に竜也が、今日と同じ時間のバイトが終わったときに店の前で待っててくれたことがあった。
あ、柚麻だ、ってまるで偶然通りかかったみたいに笑ってたけどあれは絶対に待っててくれてた。

「………」

なんで思い出しちゃったんだろう。

*前 次#