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右肘は机についている。
顔は右手の平に乗っている。
一番窓際の席だから、顔の左側は太陽に照らされている。
後ろの席だし、だからこそ、
黒板を見るフリして、真ん中の列の一番前から二番目の席の奴を見つめる事ができる。
結構硬そうな髪の毛。
無駄な筋肉のないスッキリとした後ろ姿。
髪が短いからこそ露わになる綺麗なうなじ…。
―嗚呼、どうしてそんなに格好いいんだ…!
「仁」
写真撮ろっかな。
い、いや!
後ろ姿の写真なら既に20、いや30はあるし。
ただ、生はやっぱり違うぜ、写真とは比べ物にならない。
動くし!?
「仁」
嗚呼、後ろ姿も好きだけど、それでも俺が一番好きなのは何と言っても…
…こ、こっち向いたあああ!?
嗚呼!
あれだよ!あのキリッとした、整った顔!
いっつも涼しげでつまりはクールで頭も良くってさ、あーあ畜生かっこいいよな。
てかこいつ何でさっきから俺の事見てんだ…!?
恥ずかしいだろうが!
本当はすっげー嬉しいんだけどここでそれを認めてしまうのは俺の無駄なプライドが許さないので照れ隠しに睨んでみる。
「仁…」
ふん、雅樹の馬鹿やろう見てんじゃねーぞしかもあれ?なんか口動かして…何か伝えようと…?
ばばばばかじゃねーの何お前何授業中になにしてんだいい加減前向けよバー…ってあれ…
なんか…よく見たら皆…
こっち見て………?
「仁」
「!!はい…!?」
なっ…なんだ急に目の前に先生が現れたと思ったら頭を叩かれた…?
「仁、授業はちゃんと聞こうな」
やってしまった。
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