ともだち(1/3)
「おい侑李」
「おはよー」
おはよーじゃねーよ。
このもぐらまたなんか変な事始めおったわ。
「人んちのテーブルでミミズ遊ばせてんじゃねーよ」
「僕んちでもあるもん」
「そーじゃなくて」
コタツの上でミミズが一匹運動会してた。
それを応援してた侑李の首根っこを掴んでやる。ぐえ。
「お外に返してきんしゃい」
「でも僕の友達だよ?いや、親友か」
「どっちでもいーわ」
「お願い智也、もうちょっとだけ」
侑李が来て少したつけど、こいつが虫の友達をつれてくるのには慣れてきた。
あと朝起きたらほっぺにちゅーされてんのも慣れた。
「はあ‥なあ俺そろそろ仕事行くから大人しくしてろよ」
「もう行っちゃうの?」
「これ以上友達連れてくんなよな」
「智也‥」
侑李は寂しがり屋っぽい。
ウルウル目には騙されないからな。
でもちょこちょこ玄関までついてくるのは、くそーこいつちょっと愛しいじゃねーかと思う。
ちょっとだけ。
「智也‥」
「友達を増やさないこと。日光に当たらないこと。外に出ないこと。いいか」
「智也‥」
「聞いてんのかてめー」
「オッケー」
バイバーイと手を振る侑李を無視して玄関を閉めた。
なんだかんだでもぐらを買い始めた俺です。
次#
←戻る