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鍵はかかっていなかった、バンと凄い勢いで久しぶりの我が家の扉を開けた。


リビングの真ん中で、カーペットの上で座り込んだ亮太が携帯を片手に呆然としていた。

どうやら本当に動かなかったらしい。


「…亮太」

「っ!…おれのはなし」


そういえば俺は、あの亮太が出した世界最大であろう決心を悉く踏みにじってしまった。

でも、仕方がない。

「…ただいま」

「…お、おれ」


よく見ると、目が凄い腫れてる。
亮太のカタカタと震える手が俺の腕を掴んだ。


「なんで…?おれ…」

「うん。なんでだろ」

「え…」


しゃがんでよいしょと亮太の尻を持ち上げると、ひゅっと亮太の腕が首にまきついた。


「俺…わかってくれるまで帰らないって言った」

「…うん…」

「…なおしてくれるまでなんて言ってないよ」

「……?」


嗚呼、なんて言い訳。
勿論言っていないというだけでそのつもりではあったのだけど。

俺も随分勝手だ。


「俺の気持ち…ちょっとでもわかってくれたんでしょ?」

「うん…え…変なの…」

「そうかも…」



嗚呼、何やってんだか。

結局俺は甘いんだな。

何も変わってないのは俺の方だ。


亮太が小さく泣き声をあげた。



 

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