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今日は大学の友達と夕飯を食べた。
その後は勿論すぐに帰るし遅くなるという事は事前に亮太にも言ってある。

それでも、家の玄関の前でつい足を止めてしまったのは、…亮太の様子が予測できるから。


めんどくさいのは嫌だ。
出来ればこのままUターンしてあの後の二次会に参加してきたい。
でもこれ以上めんどくさくするのも嫌なので仕方がない…俺は玄関を開けた。


「ただいま…」


返事はない。

変わりにリビングの方から、ズッと鼻を啜る音が聞こえてきた。

…やっぱりな。


「亮太…。まだ起きてたのか」

「賢斗。…おかえりなさい」


亮太は俺の顔を見て慌てて涙を拭った。

でも俺は知っている。
今のは狙ってやったことだ。
俺が帰ってくる頃に無理に涙を流して、俺と目が合うと、泣いてないよ、というフリ…のフリをする。

いつものパターン。


「亮太、泣いてたのか?」

「な、泣いてないよ」


亮太はふるふると頭を振ったが、その瞳はキラリと輝いて、顔には大きく泣いてましたと書いてある。

でも、泣いてはいただろうがその涙はあくまで無理矢理ひねり出したものだということを忘れてはならない。


「悪かったよ。遅くなるってちゃんと言ったろ?」

「うん…大丈夫だよ」


でも本当は大丈夫じゃないよ、と、亮太は言いたくて言いたくて仕方がない様子だった。

 

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