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亮太side



「全然…気にしないで」


俺はそう言ってわざと笑顔をひきつらせた。

そうして少し切なげに俯く。

そうすれば、賢斗は心配してくれるだろうし、悪いことしたなあと思うだろう。

別に反省してほしいわけじゃないけど、ごめんねと言って抱きしめてもらうのが好き。


可哀想な事してごめん。
そう言って貰うのが俺は一番好き。

そうして貰えるのが嬉しくて、楽しくて、いつも僅かでも俺が寂しがるフリをする口実が出来れば思い切りフル活用する。


例えば会話中に賢斗の携帯に電話がかかってきたとき。
100%賢斗は悪くないけれど、俺は拗ねたフリをする。

電話が長ければ長いほど頭の中で寂しいと叫んで、同時に、
もっと寂しがる、フリをしたいからまだまだ電話を切らないで、と願う。


ごめんと謝られた時は、気にしないで!と言うけれど本当は気にしてほしい。

それに、さり気なくそのアピールも欠かさない。
傷ついたような顔して、俯く。
影で、賢斗が気づくように泣く。


自分でも変な事をしてると思うけど生まれながらの質、クセになって止められない。


それに、毎回毎回俺を可愛がって、(または可哀想だと言って)抱きしめて撫でてくれる賢斗が大好き。


我が儘な俺の傍に居てくれる賢斗が好き。



でも、だからこそ、止まらない。


俺は可哀想。
寂しい。

人はそれを被害妄想と呼んだ。


END

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