04(1/3)
あの夜、夕飯を食べてから亮太の作ったクッキーを摘んでいる時だった。
携帯が鳴って、俺は少し席を外して電話に出た。
ちょっとごめん、と亮太に断って、廊下に出た。
電話の相手は、今日一緒に帰りかけた結構仲の良い友人。
「…もしもし?」
『よお、大丈夫だった?今日。』
「…うん、なんとか」
心配して電話をくれたらしい。
彼にはたまに、亮太の事を相談したりする。
勿論、被害妄想癖の事について。
最初はやめとけそんな奴と言われたけれど、最近は黙って話を聞いてくれる。良いやつ。
「ごめんな、急に帰れなくなっちゃって…あの本屋、道わかった?」
『気にすんなよ!そっちも大変だろ。本屋なんて気合いで探したぜ』
「そっか…良かった」
ありがとう、と言って電話を切った。
今回は彼も巻き込んでしまったな、と気分がズシリと重くなった。
リビングに戻ると、亮太がクッキーの前でシュンと俯いていた。
ハッとしたのと同時に、またかよと少し目眩がする。
またかよ。
「亮太…?」
「…迷惑、だった?」
消え入りそうな亮太の声。
震えてはいないから、泣いてはいないんだろう。
「賢斗は友達と帰ろうとしてたのに…俺、邪魔だったよね」
「そんな事言ってないよ、亮太」
亮太は、フルフルと頭を横に振った。
何なんだ。
迷惑だったなんて言ってないってのが、嘘だってのか。
つかれ、…
「…疲れた」
「…え?」
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