上(1/3)
愁から手紙が来た。
荷物整理も落ち着いて、学校にも馴染んだので遊びに来てもいいよ、というもの。
愁が転校し、1ヶ月後のことだったから、意外に早いな、と思った。
もう馴染んだのか。
愁のことだから、転校初日「やあ」の一言ので皆を虜にしてしまったにちがいない。
すぐに予定を確認し準備、三連休の初日である今日俺はまさに待ち合わせ場所である駅の改札を抜けたあたりで愁の姿を探していた。
そう大きな駅じゃない。
人で溢れかえっているわけでもないから、すぐに見つかるはずだ。
「………」
いねえ。わからない。
時間はあってるけど、もしかして寝坊だろうか。
仕方ないのでそばにあったお土産屋を見ていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「ねーねー」
「あ?」
振り返ると、相変わらず眉を垂らして笑う愁が。
「愁…いたのか」
「直樹が改札抜けてからねー、後ろついてってた」
いや、声かけろよ。
1ヶ月ぶりの再会に一気に胸がほっこりしつつ、久し振りだなとゆっくり挨拶‥する暇もなく。
愁は、「よし」とか言ってさっさと歩きだしてしまった。
‥なんというか。
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