『幸雄さーん、零くーん
お雑煮まだ?』

「はは、まだ昼前っすよ?」

「今あっためてるとこだ
大人しくまっとけ」



まるで小さな子供をあやすように喋る零と
大きなお鍋から視線を外さないまま返事をした幸雄にナマエはわざとらしく頬を膨らませた。
もう手伝ってやらないとふて腐れ、幸雄の後ろでおにぎりを作っていた涯に歩み寄る。


『涯くーん、おにぎり
まだ出来てない?』

「まだです。まだのりたま
ふってないっす」

『のりたまは大丈夫だからさ
一個だけちょうだいよ』

「...だめです」



これ以上言い寄れば怒らせる。と察知し、とぼとぼと台所を後にしてこたつのある部屋へ戻れば
こたつを取り巻く野郎が、それも2人、増えてる事にナマエは脱力した。


「はい賭けた賭けたー」

「天さん!もうちょっと
そっちよってくださいよ!」

「るせーな、俺も狭いんだよ」




小さなコタツに大男がむさ苦しく5人もいれば泣きたくもなるだろう。
一条でも退かそうとしたがやはりびくともしない。
はねのけられたナマエはぽつんと蚊帳の外で


どうにか落ち着ける場所を探そうとウロウロしていたナマエの耳に聞こえたのは、玄関の開く乾いた音と少し低い声


「ただいまー!
山ほど酒買ってきたぞー」




銀二と森田が帰ってきたのだ








   



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