いつの頃からか目で追っていた。
出会いはオヤジに手を引かれ乗り込んだ船の上。まともに話したのは、兄貴分と衝突して殴り合った後。ボロボロのまま蹲る俺に合わせてしゃがみ込んで、のぞき込んで来てまであいつはこう言った。
「ドブネズミみてぇ」
その言葉に突っかからなかったのは、言い得て妙だと変に納得してしまったからだ。妙に卑屈でひねくれていた俺は、自身に対してすらどこか卑屈だった。
だからだろうか。
「俺、ナマエってんだ。よろしくな、兄弟」
そう歯を見せて笑った顔が、眩暈するほど眩しかった。
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