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※注意事項

錦山生存ルート一直線話です













なぁ、由美
笑ってくれよ

お前を守りたくて
この手を血で染めてしまった俺を


「本当に、俺は駄目な奴だよ」


桐生も、由美も

愛する妹さえも



「なにもかも、失うのか俺は」


すべてなくした

俺のせいだ
全部、俺のせいなんだ




________________



「錦山く〜ん
今日は寄っていかないの?」

「……」

「なに、どうかしたの?」



いつも寄ってたキャバクラも
今となっては馬鹿らしい

何もしたくねえ
何もする気が起きねえ



愛想笑いもできないくらい
弱りきったヤクザなんか
居る意味なんて、あんのか?


いや、生きてる意味すら



「…ないのか」

「??
何か言った?」

「……」

「あ、ちょっともう
また今度きてよね!」


引き止められても
足を止めずに歩く

なにかを考えることもなく
ただひたすら。



それしかできなかった




バンッ



「あぁ?なにしてくれてんだ
お前ちゃんと前見えてんのか?」


向かいから歩いてきた
男の肩にぶつかる

その男は鋭い目つきで
振り返り錦山を睨んだ



「おいおい、ぶつかっておいて
謝罪も無しか?いいご身分だな?」

「……」



錦山は男に振り返りもせず
そのままふらふらと歩き出す



「…てめぇ俺を舐めてんのか?
気分悪いな、一発ぶん殴らせろや」


ふらつき歩き始めた
錦山の肩を男はがしっと
強引に鷲掴み足を止める



『おい、呼ばれてんぞ』

「うるせえよ」


――お前の声がする




「…今なんつった?
そんなに殴られてぇなら
望み通り殴ってやるよ」



『お前、面倒くさいんだろ』

「そうだよ、面倒くせえんだよ
なにもかも面倒くせえ」

『もう、絡まれるようなこと
しちゃ駄目でしょ二人とも!』






――話しかけて、来るな





『お前らしくねえな
逃げんのか、錦?』














「…ぁあぁああ゛あ゛ッッ!!」

「なっ、なんだよこいつ…
頭イカレてんのか?」


突然、吠える錦山の姿に
相手は驚いて後ずさる




「俺らしいってなんだ…?
桐生、お前の言う俺って
一体なんなんだよ……」

「あ?…こいつ何言って…」

「俺はあの時どうすりゃ良かった?
由美を放っておけば良かったのか?
…そんなこと、できるわけねぇよな
そうだよな、兄弟?」




俺のしたことは間違ってたか?
一体どうすれば最善の策だった?




分からねえ
全然分からねえ




「桐生…俺は、お前みたいに
強い生き方ができるほど
器用じゃねえんだ…」

「…さっきから意味分かんねえ
ことばっかほざきやがって…
殴って目覚まさせてやるよッ!」







俺は…






「おいおい、また喧嘩かよ」

「でもさちょっと、あの男の人
全然抵抗してないし
通報しないとヤバイんじゃない…?」

「でも関わると面倒だし」

「ヤクザだよね、怖〜」











生きる価値すら、

生きる意味すら失った











………ヤクザだ












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