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それは急な出来事だった







「なぁ、みょうじ」

「ん、どうしたの谷む・・・」





いつものように仕事中に
サボりにくる谷村が
私の家に遊びに来ていた時だ

椅子に腰かけていた
谷村は軽い物腰で
さっと私の元へと駆け寄ると





ガチャリ






と、金属音がした


手首に冷たいものを感じ
手元を見るとそこには
一瞬の隙のうちに
つけられた手錠だった



「え、ちょ・・・なっ、なんで手錠?!」

「いや、気分で」

「そうか、気分でかぁ・・・
っていやいやいや!そうじゃなくって!」

「なに慌ててんだよ
なんか捕まるような事してんのか?」

「してないから驚いてるんでしょ!
もう・・・早く外して!」

「んー・・・」




ガチャガチャと手錠が
繋がれた手首を揺らすが
谷村は一切その気が
ないような顔で椅子へ腰をかけ直した



「外して欲しいか?」

「あ、当たり前でしょ・・・」

「それじゃあ、今から
声出すのは禁止な」

「・・・え?」




いつも仕事中は面倒くさそうに
不機嫌な顔で働いている癖に
今、この人の顔は
まさに悪魔のような笑顔をしていた





「・・・ちょ、どういうこ」

「ほら、喋ったらアウトって
言ってんだろ・・・
一生外してやんねえぞ」

「えぇ!?・・・もう・・・」



私は呆れながらも
言うとおりに口を閉じた
本気で一生外さないと言えば
本当にそうするような男
だということを知っているからだ


谷村は再度椅子から離れると
私の目の前で楽しむように
顎に手を当てて見つめてくる


なにをされるか分からない私は
なんだか少し怖くなる





「なんだ、怖いのか?」


ニタリ、と面白がって
谷村は目の前に座り込む



図星だけれどそれを
気づかれるのが悔しくて
ぷいっと私は顔を背けた


明らかに嫌な顔をする
私を見て感づいたのか
谷村はぐいっと身体を
目の前まで寄せてくる




「ぷっ・・・なんて顔してんだよ
動揺してんの丸分かり」


さらに近づいて
接近する谷村に
私はドキっとして顔を熱くさせる
バレないようにすぐさま
別の方向へと顔を背ける



バカじゃないの?
と、言いたいところだが
今は声に出せなかった


そんな私を谷村は
ひょいっと顔を覗き込む






「なんだ、ひょっとして
俺に気でもあんの?」




?!




あまりの突拍子な発言に




「あ、あるわけないでしょ!!」


私は大声で約束を破ってしまった

しまった、と繋がれた手で
口を抑えた時には




「ほい、アウトなー」



谷村は図っていたかのように
またニタリと妖しげに微笑む



「ちょ、ちょっと待って
今のは卑怯でしょ」

「なにが卑怯なんだよ
別に大したこと言ってないけど?」

「そ、それは・・・」




それは谷村にとっては
大したことじゃないかもしれないけど

こんな私なんかでも
一応、女なんだから





そんな恥ずかしいこと
言えるはずもなく私は観念する



「分かった、私の負けです」

「ん、じゃあ罰ゲームだな」

「は?!聞いてませんけど?!
手錠外さないだけじゃないの?」

「え?だって言ってねえもん
なんか面白かったし
この罰ゲームで決めるかな」

「ええ〜・・・」



何食わぬ顔でへらへらと笑う
谷村にまたもや私は
大きな溜息をついた




「じゃあ、動いたら
一生手錠外さない、な」

「・・・ぐぬ・・・」



私はただ動かない
それだけのことだ

それくらいなら我慢できるはず



「じゃあいくぞ」

「・・・?」



そう一言谷村は言うと
徐々に私の目と鼻の先まで
顔を近づけてくる



「え、な・・・なに・・・?」

「動いたらアウトだからな」



30cm、20cm、10cm


そして5cm



「た、谷村・・・?」

「みょうじ」

「ちょ、っと・・・待・・・」


唇が触れそうになる
わずか1cm



私は思い切りぎゅっと目を閉じ
キスを覚悟した



その時





ガチャリ、と手錠が外れる
感覚がして目を見開いた



目の前には苦しそうに
口を抑え爆笑する谷村



「ぷっ、くくっ・・・・
おま・・・お前・・・っ・・・
なに目瞑ってんの・・・?」

「なっ・・・」

「なに期待してんだよバーカ」

「さ、・・・最低!最悪!
バカ谷村!阿呆!ダニ!」

「バカはお前だ、バカ
んじゃ俺そろそろ
仕事戻るわ、じゃあな」

「ふん・・・」



あの時もしそのままされても
満更でもなかったかも、なんて
と少しでも思えてしまう自分が居て
心の中でモヤモヤしてしまう




「なんだよ拗ねんなって
仕方ねえな、また遊んでやるよ」

「いるかっ!早く仕事いってこい!」

「へいへい」




そう言って谷村は
仕事に戻っていく



さっきまでかかっていた手錠は
外されたはずなのに
心の奥のなにかが
解けない感覚のする私だった





________________





※あとがき



後日


「今日はこれな」

「こ・・・これ、なに・・・?」

「麻酔銃」

「そんなの打たれてたまるか!
代わりにお前に打ってや・・・」

ガチャリ

「ま、また手錠?!」

「はい次のゲームな」

「えええええっ!?」


※週一のお決まりになったそうな




谷村の夢リクエストでした!
谷村の性格などがイマイチ
なかなか掴めてなくて
なにかが違っていたらすいませんorz


でも「谷村がドS」
ってことだけは合っているはず(笑)
若干SMプレイのような感じだったので
書いていて楽しかったです!
リクエストありがとうございました!!


4/29 4:11




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