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私がいつも歩き慣れている
通りの場所には、必ずと
言っていい程ホームレスが居た

最初は嫌だと思っていたが
最近は特になにも思わなくなって
その人達の目の前を通り過ぎるくらい
いまとなっては安易なことだ



そうして、今日も
私はその通りを歩いていた



しかし

今日は安易ではなかったようだ




「うっ……、ぅあ……」



道端でダンボールの上に横になり
もがき苦しむその男性は
少し若めのホームレスで
顔と首の肌けた部分からは
大量の汗をかいている



(あの人、大丈夫かな……)


周りも人達も心配はしているが
私のように、心配だけをして
あまり関わりたくない、というのが
一番の本音だった


男性は見るからに苦しそうで
その呻き声は段々大きくなっていく


「うっ、ううぅ……」



怖くなり、その場を離れていく人達。


私もその場を離れようとしたが
このままでは死んでしまうのでは
と思い、不安ながらも近づいてみる


「……救急車呼びましょうか?」

「っ……、はぁ…」

「あ、あのっ、呼びますね!」



携帯をすかさず取り出して
私は119番を押す


しかし



「よせっ…………!」

「きゃっ!!??」


男に足元をグッと掴まれ
驚いて携帯を落としてしまう


男はそれが最後の力だったのか
足を掴んだままうつ伏せで
倒れてしまい、気を失ってしまった



「どっ、どっ、どうしよう…!!
救急車……は、ダメって……
一体どういうこと……?!」


通りを歩く人達からの
目線が痛く、私はテンパる

運良くその通りを走る
タクシーが見え、
咄嗟に私はタクシーを捕まえた

そしてなにを思ったのか、
私はその男もタクシーへ乗せ
自宅へと向かったのだった






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