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頭がくらくらする程
酔ったのは久しぶりだった


「なまえ、少し飲みすぎたんじゃないか?」

「しんどいなら横になってもいいぞ」

「す、すいません・・・」



伊達と桐生は
なまえが酔っているのを察すると
ソファへと場所を移し替え
横になるよう気を遣ってくれた


私自身もそこまでは記憶がある



その時は大して二人は酔って
居ないようだった




――――――――――――――――





「・・・あれ?」


目を覚ますと伊達さんが潰れていた
しかもグラスを持ったまま
机にうつ伏せで寝ているのだ





「起きたか・・・」


桐生はタバコを吸いながら
真横で起き上がるなまえを
一目見ると、吸殻を皿へと捨てた



「あ、桐生さん・・・
私、酔って寝てたんですね・・・」

「あぁ、かなりぐっすり眠ってたな」

「でもなんだか頭が痛いです・・・」


目眩がする中、なまえは
身体を起こしてソファへともたれる


「桐生さんは酔ってないんですか?」

「あぁ、大丈夫だ」

「伊達さんは随分と
酔ってるみたいですけど・・・」


向かいでぐったりと
している伊達さんは
いつもの生真面目な顔が
どこか抜けているようで
なまえはふと笑ってしまう



「ぷっ、伊達さん・・・なんか可愛い」








「・・・・・・・・おい」


「え?」


何故か妙な無言の間の後に
桐生は不機嫌な口調で呼びかける

なまえが隣を向く前に
桐生はなまえの手首を
グッと引っ張り自らの
傍へと引き寄せた



「わっ!?な、なにっ・・・?!」

「・・・・・・お前、伊達さんが良いのか・・・?」

「・・・え?き、桐生さん、なに言って・・・」

「・・・俺の方が何倍も可愛いぜ?」

「・・・!?!?!?」



なまえはあまりの衝撃に口を開ける
そういうことをさらっと言う人ではない
明らかにいつもの桐生ではなかった

そう、この男は完全に・・・




「き、桐生さん・・・酔ってます・・・?」

「酔ってねえ」

「・・・酔ってる」

「酔ってねえ」

「・・・・・・」

「酔ってねえ」

「なにも言ってないのに・・・」



よく見るとほのかに顔が赤い

机の上には大量の飲酒の跡があり
二人がどれだけ飲んだのかがよく分かる



「そりゃこんなに飲めば酔いますよ・・・」

「だから酔ってねえって言ってんだろう」

「だって変な意地張ってて・・・
いつもの桐生さんらしくな・・・」

「証拠なんてねえだろうが」

「わっ・・・!?」


桐生はそのほのかに赤い顔を
なまえへ近づけてじっと目を見つめる


あまりの近さになまえは驚いて
慌てて後ずさるが、桐生はじわじわと
追い詰めるように距離を縮めていく



「なまえ・・・」

「ちょ、ちょっと待って桐生さ・・・」

「待てねえ」


なまえの背中に手を回すと
ソファへと勢いよく押し倒した

大きな体がなまえの上に
覆いかぶさるように
桐生は身体を重ねる



「・・・いいか?」

「き、桐生さん・・・」



桐生はゆっくりと唇と
近づけていく

お互いの唇が触れ合う
その直前だった




「・・・よくねぇよ、お二人さん」

「!!」



二人はぎくっとしたように
横になったままの状態で
机の上をゆっくり振り向くと
そこには肘をついて上から
見下ろしている伊達がいた



「お前らな・・・」

「ち、ちがっ・・・違うんですっ」

「だ、伊達さん・・・」


なまえはぶんぶんと首を振る

伊達は呆れた顔で首を傾げると
桐生の顔を直視した



「桐生、お前が酔った勢いで
なまえを襲うなんてな・・・」

「い、いや・・・俺は
別にそんなつもりは」

「桐生!」

「・・・!」


「・・・なんだ、お前も男だったんだな〜!
はっはっはっは!いいじゃねえか!
その方が男らしくてよ!
だからほら、とっとと続きやれよ」

「・・・伊達さん」

「とっととって・・・何言ってるんですか・・・」


そうだった・・・伊達さんも酔ってたんだった

机を叩きながら大きく笑う伊達を見て
桐生は頭を抱え首を横に振ると
大きな溜息をついた



「なまえ、俺・・・酔ってるのか?」

「・・・桐生さん、本当に
自覚してなかったんですか?」

「・・・酔ったことには自覚はないが
お前を襲おうとしたことに自覚はあるな」

「な・・・」

「ということで、続きでもやるか?」

「ば、馬鹿言わないでくださいっ!」

「んー?やらねえのか?
男ならそこはやっとけって!」

「伊達さん、ちょっと黙ってて!」

「・・・なまえ、顔が怖い」



なまえの形相に
黙り込む二人であった






―――――――――――――――




※あとがき


「今日は飲みすぎたな〜」

「伊達さんフラフラじゃないですか」

「お前らは平気なのか?」

「・・・伊達さんのおかげで
酔いが覚めました」

「それじゃあお前らだけで
もう一軒行ってくればいいじゃねえか」

「え?いや、もう夜遅いですし」

「そうだな、この時間なら
もうホテルに直行だな・・・」

「・・・」


酔うと下ネタに強いおっちゃん。




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