今私は重要な危機に面している。

それは、どのように自己紹介をするか、だ。

自己紹介とは私がまとめるに3パターンくらいだろうか。

恐らく、もっとあるだろうけど。

1、明るい系。初めまして!仲良くしてね!みたいな明るく、馴染みやすいものだ。

2、クール系。名前だけ告げ、よろしくも言わないか、言っても感情が こもってないか。

3、賛否両論系。つまり、意見が分かれるやつだ。例をあげるなら、ぶりっ子、それから、平凡が好きなので関わらないでください!、不思議ちゃん系などか。

難しい。これだけでも十分な量だっていうのに。

まず、3番は無しだろ。それから、1と2...どちらも甲乙つけがたい、が、どちらも人を選ぶ。

1は似合わない子がやったらうわ、きも、だし、2なんかは、かっこいい男子、もしくは女子がやったらいいけど、それ以外がやったらマジちょーしじゃね?(笑)状態じゃないか。ていうか、もしそれで誰も話しかけてこなかったら私だったら泣く。

つまり、結局は4番、普通に自己紹介しか残っていないわけで。

「お隣さんやな。1年間よろしゅう」

「何それとても地味。でもやっぱり、私がよろしくに星つくくらいのくらいのテンションでくるのもおかしいわけで」

「さっきから、何の話しとるん?」

「何って、私が転校する時の自己紹介」

「ふーん。俺は、星つくくらいのテンションでも大丈夫やと思うで」

は?

この男は何を言っている?私の心の中を読んだというのか?

いや、でも、そんなことあるはずないから。

つまりは...?

この間コンマ1秒とか言いたいところだが、そこまで頭が働くはずもなく、30秒くらいである。

「その記憶を今すぐ消去しろ」

「人の記憶ってそんな簡単に消えんのや」

「人の記憶って案外簡単に消えるんですよ。例えばほら、そこらへんの物で殴ったりね」

「いったん落ち着き、な?話せばわかる」

落ち着けるわけがあるか。

私の大切な考え事がバレてしまったんだから。

教室内に人がいないことから、考え事をしている間に先生の話は終わっていたようだ。不幸中の幸いってやつか。

ああ、ちなみに、今更だが私は転校生じゃない。中等部からこの学園で生活している。今日から3年目だ。転校する気もない。

ただ、もし転校とかするならどんな自己紹介かを考えていただけであって。

「で、なに?苗字さんは、転校するん?」

「笑うな、にやけるな、吹き出すな」

「おお、語呂ええな。避難訓練みたいや」

「うん、そうだね」

転校あたりで吹き出しやがった。恐らくさっきの星でも思い出したんだろうけど。

それから、このお隣さんはどうやら頭のネジが何本かとんでるらしい。

「で、何で転校?学年変わったばっかやのに」

「しないし。あれは、考え事で」

「苗字さん妄想するんかー、へぇー」

私は確信した。こいつはうざいタイプだ。

「とりあえず、今日のこと広めたらダメだから」

「どうしよーな」

「ではさようなら」

「え、用意すんの速すぎやろ」

新学年初日の誤算だ。ああいうめんどくさそうなやつとは関わらないと決めていたのに。

考え事のしすぎで周りが見えなくなるのはこれから気をつけよう。
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