ばたばたしつつもなんとか午前の競技が無事終了した。
解散!そう言うと皆ばらばらに散りはじめる。大体自分の仕事も落ち着いて、私もお弁当を食べよう、そう思い準備をしていると

「名前」

突然後ろから名前を呼ばれた。

「?……茜!」

何かあったのだろうか、茜の顔は余り明るいとは言えない。

「……あれ、なに」
「え?」

茜が指差した方向に目を向ければ、そこにはテニス部メンバーと渡辺ちゃんがいて、楽しそうにお弁当を食べている。

「説明して」
「なんでもないよ」

あはは、そう笑いながら言ったのは完全に茜のどこかの糸を切ってしまったらしい

「なんでもなくないからこんなことになってるんでしょ?!なんでなんも言ってくれないの。これみて何もなかったとは思えない。ちゃんと話してよ」
「ちょ、わかった話す、話すから落ち着いて」

茜がヒートアップするせいで、なんだか落ち着いてきてしまった。何とか茜を落ち着かせながら今まで話せなかったことを全部話した。

「渡辺ななっていま女子生徒の反感かってるあの子でしょ」
「え、渡辺ちゃんなんか言われてるの」
「あのテニス部のマネージャーだよ?あたりまえじゃない。」
「まあ、ね」

私だって今は大分収まったけど色々言われてるんだから、マネージャーともなれば妬まれるだろうな。
最近自分のことばっかだったからなんも知らなかった。

「私は、あのこ嫌い」
「嫌いとかはあんまり言っていいもんじゃないよ」
「わかってる。でも今の話聞いて、確かに友達の名前を贔屓目でみてるとこはあるけど、やり方が狡いしそもそも気に入らない。外堀埋めてくみたいな子は正直そんなにすきじゃないの、なにより名前傷ついたんだから好きになんてなれない」

怒濤の勢いでそうしゃべる茜は本気で私のことを思ってくれていて、少し涙が出そうになった。ずっと気にして、でも言うのを我慢して、それでもあの皆を見て、いいにきたんだろうな、本当にいい友達に恵まれてると思う。

「ありがとう、ほんと」
「もう、何かあったらいってよ」
「うん」
「じゃあお弁当食べる?」
「そうしよっか」

茜に話してから、なんだかすっきりして、午後も頑張れる気がしてくる。
茜とご飯を食べながら、午後の競技の成功を願った




「名前借り人競争やるんでしょ」
「うん」
「頑張ってね」
「頑張る!」
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