勝手に疎外感なんて感じてるのは私だから、この気持ちは悟られたら駄目だ。そう思った。
「先輩、部長怒ってはりました?」
あの輪から抜け出してきたんだろうか。こそこそっと財前くんが問いかけてきた。
「HRまで永遠に続いたんだよ、お説教」
「部長も相変わらずやな」
財前くんもお説教くらったことがあるんだろうか、少し呆れた様な口ぶりで財前くんがそう言う。
でもその顔は何処と無く楽しそうで、もしかしたら昔に戻った様に感じるのかもしれない。
「中学の時の白石とか見てみたい気もする」
「てか、気になってたんですけど」
「なに?」
「部長と先輩って付き合ってるんすか?」
急にシリアスなムードかと思いきや予想外の質問が飛んできて目をかっぴらいてしまった。
「えっ、付き合ってないけど急にどうしたの」
「朝から一年の女子の話題ずっとそれなんで一応聞いとこう思って」
「そうなの?!あ、朝一緒だったからか…」
一年の女の子達の話題がそれで持ちきりなんて白石モテすぎなんやって。朝一緒に居たのが謙也だったら多分そこまでにはならないだろうな。
「あっ名前先輩も皆さんとお知り合いなんですね!」
白石ってモテすぎだよね、そう言おうと思った時、輪の中からそんな可愛らしい声が聞こえた。でも、今日はなんだか視線も言葉も少し棘がある気がする。
「うん、一応ね」
気がするだけでしょ、きっと私の被害妄想だ。そう言い聞かせながら笑って返した言葉も
「先輩ってお友達作るのお上手なんですね!私あんまり友達作れなくって…」
そう返されてしまって、渡辺ちゃんならすぐできるよなんて言葉しか出てこなかった。
そうやで、すぐできる!そんなみんなの言葉を聞くと、さっきの渡辺ちゃんの言葉を嫌味に感じてしまうのは私の気持ちの問題な気もする。
「取り敢えず座って食べよか」
白石がそう言ったから渡辺ちゃんと私の会話は途切れたけど、なんだか凄くモヤモヤして、いつもより早くご飯を食べて、先に教室に戻ることにした。
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