季節も秋に移り変わる頃。


暗殺が板に付いてきて、元々能力的な強さにおいては右に出る者など皆無なアナスタシアは最早ヴァリアーで無双状態だった。9代目が危惧していた通り、この情報は瞬く間にマフィアの間で有名となる。



“ボンゴレに魔女がいる”


言い出したのは、広めたのは誰なのか。それは憶測か、それとも確たる証拠を持った上での発言なのか。

何れにせよ、この事でアナスタシアを狙うファミリーは一気に増えた。同じ目的を持つファミリー同士の同盟がいくつも成立しているという情報が出てくるのも早く、現在事は早急に対応が必要な状態となっている。


「あんたの存在が知られた今、選択は二つに一つだぁ」


「…私が直接出て力の差を示すか、情報が嘘である事を突き通す為に守られる側に徹するか」


「そうだぁ。念の為希望を聞いてやる」


「…私は…」



アナスタシアは迷っていた。過去の記憶が、彼女にそうさせたのだ。
その昔大切な人々に守られていた事。その人々は自分が魔女であると公になった事で死んでいったという事実。そんな記憶が、今の居場所も同じように消えていくのではないかという恐怖をアナスタシアに見せる。
しかし、“今度こそ守る”
そんな思いが、決意が、恐怖や悲しみを強さに上書きしてアナスタシアに選択肢は一つしかないという事を教えた。
前回そうしなかった事の後悔を拭うように、下を向いていた顔を上げスクアーロの方を見遣る。




「私は、守ってみせる。この場所も、お前達も」




「…フン。
オレ達は死なねぇ。そもそも雑魚如きに殺られるような軟弱な奴はこのヴァリアーには必要ねぇがなぁ」


そうと決まれば会議だ幹部を集めろと、そう言って久々に楽しそうな表情をしたスクアーロを見てアナスタシアは不安と嬉しさの混じる何とも言えない顔をすると、ほんの少しだけ笑った。





ー開かれた扉ー


物語は進んだ。向かうエンディングは凶か、吉か。





2015.09.21 Yuz
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