今回の魔女紛争はざっと、主要の敵ファミリーをヴァリアーで片付け、その他の弱い過激派勢力を同盟ファミリーが潰していくといった作戦のもと実行された。






先程までの騒がしさがまるで嘘かのように、穏やかで、静かな夜更けの刻。現在午前3時を過ぎたところだ。



特に大きな問題もなく敵ファミリーの殲滅が済み無事任務完了となった頃、スクアーロとアナスタシアはとある墓地の一角へ来ていた。


そこはかつて裁かれた多くの罪人を埋葬する塚となっていた場所で、現在は1つの大きな石碑が建てられている。

初めに対峙したロツィオーネファミリーのアジトで手に入れていた資料から、アナスタシアの探す人物達もこの辺りで眠っている可能性が高い事が判明したのである。




「確かめるのは無理だろう。オレは先に車へ戻ってる。」



「…あぁ。付き合わせてしまってすまないな。」



「……。
さっさと済ませろぉ、ボスが暴れ出さない内に帰るぜぇ。」



「ふふ。そうだな。」





スクアーロの気配が遠ざかり、アナスタシアは石碑前へ跪く。
そしてその手の中に青い薔薇の花束を創り出すと、一箇所、そこだけこんもりと柔らかそうな土が盛られた上にそっと、麗しい花束を捧げた。




未だ鮮やかな記憶が蘇る。
こんなに長い時間を生きていても、家族と過ごしたほんの短い期間だけはアナスタシアの中で変わらずに輝いていた。

彼らとの日々を思い出す度に胸が締め付けられるようで、涙が溢れ、幸福感と悲愴感の入り交じるような、そんな感覚に陥る。






「…っ……すまなかった…
そして、ありがとう。

お前達の優しい心に触れて、この世にはこんな幸せな事があるのだと知った。
誰かを愛した人の力とは、こんなにも強いものだと知らされた。

私にとっては、全てが宝物のような日々だった。」






もう二度とは戻らない温もりを想って、アナスタシアはまた涙した。





「愛しい人々よ、せめてどうか安らかに。」








ー切なる祈りー



きっと永遠に忘れない。
大切な者達との記憶。
闘いの終結。



2016.06.02 Yuz
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