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――変化は突然やって来る――。


 三【兄妹の絆】





織姫の自宅にて――、


「バカじゃないのっあんた!?」


たつきの罵る声が響く。


「しっ…失敬な!バカじゃないっすよ!」

「いーやバカよ!そんなチャンスムダにするなんて!」

『確かに、バカだね』

「でしょ?ほらカンナもこう言ってるじゃない!」


たつきの言い分にあたしも乗っかる。

聞くところによると、今日の昼時の買い物帰りに一護とルキアに会ったらしい。一護とルキアは今日公園で一護の死神の特訓をするって言ってたから…その公園で会ったんだろうと推測する。

あたしは、今日は土曜日だし織姫との約束もあったので、その場には居合わせなかった。


『せっかくのチャンスだったんだから、送ってもらえばよかったのに』


あたしの言葉に今度はたつきが深く頷く。


――だってね〜…。

あの虚、織姫を狙ってたし…一応ルキアには昨日の事故の事は話した――けどやっぱ織姫が心配。織姫は一護に好意を寄せてるし、送ってもらえば一石二鳥だったのに。

そうでなくても織姫は消極的だと思う。


「や…やっぱりそうかなあ……」

『ん、織姫もまだまだだね』

「そーよ!そういう時は、こーガッとイッキにいっとくの!」

「ガッと…?」

『ガッと?』


熱く語るたつきに、きょとんとお茶を啜る織姫。


「そ!“送ってやろうか?”って言われたら当然“うん!”――そして足の痛みにかこつけて肩をかしてもらう!」

『……』

「そして人気のないあたりまで送ってもらったら…力まかせに暗がりに連れ込んで……押し倒す!!!!ガッと!!」

「ボフッ」

『おー!』


押し倒す発言にお茶を吹き出した織姫の横で、たつきの案に感嘆の声をあげるカンナ。――押し倒すとは……積極的だー!


「たたたたたたつきちゃん!!」

『…“た”が多いから。そんで、どもりすぎ』

「だーいじょうぶ!あんたなら乳でも掴ましゃむこうから襲ってくるって!そしたら全部むこうのせい!」

「乳…」

『なるほどねー。“どうしてくれるのよッ”とか男を責めれる』

「うんうん。しかし…来たばっかりの転入生と早くも仲良くなるとは…一護のヤツも意外とやるなあ…」


不意にたつきがルキアの事を話題にする。

あれは死神の特訓でいただけだけど…織姫が二人の仲を不安に思うならば否定をしてあげたい所だけど、視えない人に死神なんて言ったら病院行きだろう。ゴメン…織姫。


「あ、でも仲良くって言っても一緒に公園にいただけだよ?」


理由を知っているあたしは複雑な心境で二人の会話に耳を傾ける。


「あんたたち一護と二人で公園に言ったことある?あたしゃゲーセンになら何回も行ったが…」


一護はああ見えて堅気だから女性を連れて何処かに出かけたりはしない。珍しく恋に疎い。


『あたしが一護と公園って言ったら……不良を倒してるときだね。よくケンカに絡まれる』

「あんたね…」

『…なに』

「あんたも見た目は美人なんだから、いい加減ケンカを買うのはやめな?」

『見た目はって…。でも、変な言い掛かりだったら…ケンカ買うしかないでしょ』


ケンカ三昧のカンナにたつきは半目で溜息を吐いて思う。――こいつに春はしばらく来ないな。


「あたしが…黒崎くんと……二人で公園…」


たつきとあたしがお互いに眉に皺を寄せていたら――…織姫は頬を染めて二人を尻目に妄想をし始めた。


「あぶなーい!!逃げて!逃げるのよっあたし!!いやチャンプ!!」

「!?」

『!?』


一護とのデートを妄想し始めたはずの織姫は逃げてーと叫び始めた。目を丸くするあたしとたつき。


「何!?何がどうなったの!?公園でデートする妄想してたんじゃないの!?」

『わからんー…天然娘の考えてることはわからん!』


震えながら尚も叫び続けてる織姫を見ながら小声で囁き合う。





ドスン




織姫のぶっ飛んだ思考と、あたしたちの会話は――…突然部屋に響いた不気味な音に途切れた。






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