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―――新たな出会いと共に運命の歯車は廻り始める――…。
第一話【出会い】
私が通う学校には、側に古びた旧校舎がそびえ立っている。
木造で出来た古い建物、いわくつきの旧校舎。
何度も工事をしようとしても、たたりでストップするとか――…。
噂を聞いた先生が真実を確かめようとして中に入ったら、三日後に自殺だととか――……。
屋根が二階ごと落ちて人が死んだ、とか――…。
去年は工事中のトラックが暴走しグラウンドに突っ込み、授業中だった生徒が死んだ、とか――……。
いわくつきの旧校舎。
だけど、その実態は――…
『ただの地盤沈下でーす』
噂は所詮、噂。事故の真実はどうであれ…あの旧校舎には幽霊の類はいない。
幽霊や妖怪なんかの類が見える私が言うんだから間違いありません。まぁ表立って口に出したりはしないけど。
――ん?
『あれは…』
桜の咲くこの時期に、他校の中学からエスカレーター式のこの学校に入学した…数少ない人物―…谷山麻衣が旧校舎に入ろうとしていた。
私も外部からの受験者で、麻衣とはその経由で親しくなった。
そこには霊はいないので普段なら見過ごすだろうけど、もうすぐ朝礼の時間だ。チャイムが鳴って遅刻になってしまう。
奨学金同士の私も麻衣も痛手だ。
『仕方ない』
周りに人がいないのを確認して、極力壁により呪符を取り出す。
――力を入れ込むと、私そっくりな式の出来上がりっ!
ぱっと眩い光が放たれた次の瞬間には、目の前に自分の顔があって、式である彼女に私はお願いを告げる。
『ゴメン、私の代わりに授業受けてきて』
《はい》
私は、式が頷くのを確認して、鞄も式に渡し、麻衣の後を追った。
――これが――…彼との出会いだった。
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