○○しないと出れない部屋 [3/4]
・○○しないと出れない部屋。
(巷で有名な出れない部屋ネタ。笑)
・魔法少女夢主の場合。
※一応付き合ってます。
※上級生設定です。
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教室よりも狭い部屋の中で、
「ねぇ」
身を寄せ合う私達は、のんびりと過ごしていた。
「ねぇってば」
――否、訂正しよう。
のんびりと過ごしていたのは、どうやら私だけのようだ。解せぬ。
「シルヴィ!」
『ひ、ふぁひ(痛い)』
大声を出したかと思えば、怒った風に目尻を吊り上げたジェームズによって、私の両頬は強く引っ張られ伸びた。某海賊のゴム人間のように伸びはしないが気分的にかなり伸びた、気がする。
「僕を無視するシルヴィが悪い!」
『なにさー。慌てたところでどうにもならないって〜』
「そうじゃないよ。ここから脱出したい気持ちはあるけど、それは今じゃなくてもいいかなと思ってるから」
『え。そうなの?』
赤くなってるであろう頬を擦り、きょとんと瞬く。
チャームポイントだと思ってる眠たげな双眸は今くりくりと丸くなっているんじゃないかなとか、どうでもいいことを考えてみた。
しかし意外だ。こう言ってはなんだけど…ジェームズは落ち着きがないイメージが強い為、てっきりすぐに出たいのかと思ってたよ。違ったんだね、いやあ失礼しました。
この訳の分からない部屋に閉じ込められてしばらくは杖を片手に隅々まで調べまわってたから、勘違いしてたよ、すまんすまん。
「僕たち恋人同士だよ?」
『え。知ってるよ』
「……」
『……機嫌悪い?』
ムッと中心に寄せられた眉間の皺を目の当たりにして、頬が引き攣る。
もうっ私の頬は赤く腫れたり引き攣ったり大変だよ!ジェームズのせいなんだからねっとぶつぶつと胸中で零す。最終的には私の態度が原因だろうと薄々気付いていたので、音にはしない。
「一組のカップルが!密室で!二人っきりになってたらさあ!」
『う、うん』
「イチャイチャすると思うんだよねっ!」
そう思うよねッと、有無を言わせない眼力で言われたらさあ〜…。
『う、うん』
と、返すほかないよね。
女子力皆無な私も悪いとは思うけどね!だらけたいの!女子力なくてゴメンね。
甘い空気もどうやり過ごせばいいのか、いまいち分からないのも――ジェームズが望む空気にならない理由の一つだよね。ていうか異様に近いスキンシップに慣れない。
このまま寝そべって誰かが助けてくれるのを待つ方が、体力的にも精神的にも楽なんだけど。どんだけ他力本願だとか言わないでっ。
入室した際に目に留まった指令が書かれた一枚の紙をジェームズよりも先に見付けた私って流石、偉い!この紙が見られていたら、私は今頃狼に食べられていた。
そう自画自賛してから、結構な時間をここで過ごしている。私も一応ジェームズと二人っきりでいたかったから……なんて、甘えられたらどんだけいいかッ。
『ジェームズ』
「なんだい――…って、いたッ」
詰め寄る彼のおでこを叩いてみせた。
「突然なにをするんだい」と、言ってるくせに私に甘いジェームズはそんなに怒ってはいない。ぷりぷりと怒ってるように見せかけているジェームズがおでこを擦ってる様子が可愛くて、笑みが零れた。
『ここだといつまた閉じ込められるか分かんないから、別のトコでイチャツキマショウ』
「〜〜っ!シルヴィすきっ!」
隙を突いて、むき出しの額にちゅーしてみせて、反応がある前に立ち上がった。
「僕って結構愛されてる!」
『…今自覚したのー?』
何を今更――なんて可愛くない音を出して。
でもちゃっかりと差し出された手を握り締めて、二人で仲良く意味不明な部屋から脱出した。
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