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 第八話【鎮静の雨】





「隊長!仮にも隊長は女性なんですから怪我をなさったら、放置してないで治療して下さい! 訊いてますか?」

『うぬ』



――嗚呼…これは……



「隊長はいっつも現世の任務や虚討伐に行っては何かしら傷を作ってくるんですから……無茶ばっかりして…心配する僕の身にもなって下さい。 討伐任務は僕たち席官に任せて隊長は……」

『うぬ、うぬぬ』



――“昔”の記憶だ…。

確か副隊長の竹本薫に内緒で、虚討伐にノリノリで行ったら……不注意で腹部から内臓をもやられるという怪我をしたんだっけ。

四番隊の病室に座っておる“私”と、その側で立って説教をしておる副隊長の薫が見える。



「って、訊いてますかっ!?大福を食べるのは止めなさい!」

『あ、ああ…善いではないか、大福くらい…』


“私”の手から大好物の苺大福が没収される。


「いいですか?病人は病人らしく病食だけを食べてればいいんですっ」

『そ、そんな…それはせっかく白哉が持ってきてくれた高級和菓子なのに……』


しくしく泣く“私”

だけど、その瞳からは一滴も涙は零れておらぬかった。


「元気になればいつでも食べれます」

『ぬ、ぬわ〜ん…薫の莫迦たれ』

「なんとでも」

『薫のアホたれー』

「なんとでも。――ああ、隊長、そんなに元気なら執務くらいは出来ますよね。今から書類持ってきますから」

『なぁーぬ!?』

「無茶して部下達に心配かけた罰です。明日までに捌いて下さいね」

『薫のバカああああ!!』


説教をかまして満足気に薫は病室を後にし、“私”の絶叫が四番隊の隊舎に木霊した。








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