一日目
泣く子も黙る恐怖の暗殺部隊ヴァリアー。しかし、十年前のリング争奪戦以降、雲の幹部の席は空いたままだ。
そして、何故かミルフィオーレとのいざこざもありなんか色々あったところ、霧の幹部が二人という状況に陥っている。
バランスが悪いことこの上ない。
それにちょっと、雲の幹部がいないのも恰好がつかないので、今日新たに雲の幹部を迎え入れることにしたのだった。
「んで、ボス。どいつを幹部にするか決まったわけ?」
この前髪の異様に長い金髪男。自分で自分のことを王子って言っちゃう痛い人だが、本当に王子なのだからたちが悪い。玉子っていうとブチ切れるので要注意だ。
「まだだ」
短い。台詞が短すぎる。この無口キャラの鏡みたいな男の名はXANXUS。一々ちゃんと言うのも面倒なので、ザンザスとかザンちゃんとかザーちゃんって呼んでやってほしい。命は保証できない。
「でもーそろそろ来る頃だって、オカマがルンルンで料理作っててキモいんですけどー」
頭に大きなカエルをのせたこの少年。決して痛い趣味の人ではない。前にも紹介した前髪男の陰謀によりこのような姿かたちを取らされているだけなのだ。……なんか厨二臭いと思ったのは私だけだろうか。
「何であろうと金にならないんだ。僕には関係ないね」
この赤ん坊。赤ん坊のくせして人一倍、金に執着を持っている。いや、本当は赤ん坊ではないのだが。しかも、フードをかぶっているため表情が見えない。しかも、その上にかえるが乗ってる。カエル嫌いの天敵なのである。
「ふんふんふん♪本当に、どんな子が来るか楽しみだわぁ〜〜♪」
鼻歌を歌いながら料理をしているのは何とも珍妙な生物……もといオカマである。サングラスの下の目はそれはもう素晴らしい輝きを放って……たら面白いのになーと思う。いや、本当に個人的な話ですが。
「貴様らうるさいぞ!ボスの迷惑になるようなことをするんじゃない!!!」
この何とも気味の悪い生物は、人間ではないのであんまり気にしちゃダメなのである。というのもちょっとかわいそうな気がしてきたので、まぁ人間であることくらいは認めてやらないこともない。寛大な私の心をありがたく思うがいい!!
「う゛お゛ぉおおい!!テメェら!連れてきたぞぉおおおお!!」
そう言って、拡声器でも使ってるんじゃないかってくらいでかい声で叫ぶのは作戦隊長だが、鮫鮫隊長だか、どっちだったけな……鮫鮫隊長のS・スクアーロである。特徴は長い銀髪に何と言っても声である。でかい声出し過ぎなのだ。
とまぁ、このように何ともキャラの濃いメンバーでお送りしているヴァリアーだが、今日新たな幹部がこの中に仲間入りする。その者は、不憫なのかなんなのか、かわいそうとしか言いようがな………
「ここがヴァリアー?あ、すいません。ピザとってもいいですか?」
「う゛お゛ぉおおい!テメェ来て早々どういう意味だ!」
この中でまぁ一番常識人に近い銀髪ロン毛が声を上げる。すると、新幹部の少女はめんどくさそうに目を細めた。
「は?だから…私、ピザ、食う。OK?」
こんなことの意味も分からないのか。それとも馬鹿だから日本語が聞き取れていないのかと思った少女はもう一度ゆっくりと単語のみで話す。何とも優しい心遣いだ。あ、自分で優しい心遣いとか言っちゃったよ。
そうでーす。ずっとナレーションしてたの私でーす。なんでボスとかの名前知ってたかって?そこのロン毛に連れてこられる途中に教えられたんだよ!そして、扉のちょっと空いた隙間から中の様子うかがってたんだよ!
あ、覗き見じゃん。とか言ったやつ!!パソコンの前で独り言いってる危ない人になるがいい!!
「おい、テメェ聞いてんのか!!」
またもや銀髪が大声を上げる。うるせーなこいつ。聞いてねェに決まってんだろ。何故なら私はナレーションで忙しかったんだからな!
でもまぁここで良い返すのも大人げない。一つ軽く受け流してやろう。
「あ、聞いてました聞いてました。OKOK。ピザの味決めてたんだったね」
「ちげぇよ!!やっぱ聞いてねェじゃねェか!!」
うるせーこのロン毛うるせー。この話の流れでいったらピザの話以外に何の話するっていうんだよ!!
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