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「あーちょっとそこの君ー、こっち来なさい。」
「え、僕ですか?」
「そうそう」
名も無き生徒A君を手招きして、クンクンと臭いをかぐ。
「べ、別に香水とかつけてませんけど・・・」
必死に弁解するA君の言葉を軽やかに聞き流し、やっぱり!とでも言うように目を見開く。
「委員長!!こいつ朝から、寿司食べてやがる!!逮捕してください逮捕!!」
「す、寿司食べちゃいけないんですか!?山本のうちからもらったんですよ・・・!!」
「え、山本の知り合い?」
「家が近くなんです」
「へー」
何て、他愛も無い話しをしてると、委員長が後ろに黒いオーラを背負いながらやってくる。
おぉー、やっぱりお怒りだ。
生徒A君に向かって手を合わせて、ご愁傷様。と言ってその場を離れようとしたら、A君に手を掴まれる。
「ちょ、ちょっと!待って下さいよ!!」
「離せよA君!私まで巻きぞえ食らっちゃうだろう?!」
「A君ってなんですか!僕には明っていう名前が!!」
「いいじゃん!あきら!イニシャルAじゃん!」
と、意味も分からない会話をしていると、委員長に殴られる。
うわーご愁傷様だよ明。
あれ?でも、何で私の頭までぐわんぐわんしてるわけ?
そう、まるで殴られたみたいな・・・
「何で、私の事殴るんですか!!」
「君が、意味のわからないことで呼ぶからでしょう」
意味分からなくないです!朝から寿司なんて反則です!私も食べたいです!
ギャーギャーと委員長に抗議していると、明はそそくさと逃げていく。あれー?今日はなんだか見捨てられる率が高いぞー?
「今から、没収品の整理するから。応接室来な」
「え、何で私だけ?」
「ろくな仕事して無いでしょ」
うわー言葉のナイフだー
グッサグッサ突き刺さってますよー気づいてないと思いますけど、私のハートはもうすでに血みどろですよー
「ほら、行くよ」
「チッ」
聞こえないように舌打ちしたつもりが、意外と聞こえていたようで、また頭を殴られた。グーで。
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