モラトリアムの追憶
ずっと、一緒にいるのが当たり前だった君。
ずっと、一緒に笑っているんだと思っていた。
ずっと、一緒にたくさんのことを乗り越えていくものだと思っていた。
ずっと、ずっと、ずっと。
なのに、君はもういない。
君のいなくなった空間はひどく空虚で、まるで自分の半身を引きちぎられたかのような痛みが私を襲う。
君がいなくなってやっと気づいた。
これほど自分が君に依存していたんだって。
だから、これだけは言わせてね。
私は何があっても、君の所に行くよ。
君が、何を思って私を突き放したのかは知らないけれど。
私には、その理由を知る権利があるはずだから。
ねぇ、恭弥。
もう君は、いくつになっているのかな?
小さな子供だった頃みたいに、恭君なんてもう呼べないね。
恭弥、恭弥。
君の名前を呼ぶと、君がまるで近くにいるみたいに錯覚するんだ。
会いに行くのを許してね。
君が本当に私のことを嫌いになっていたのなら、その場で突き放してくれて構わないから。
未練が残ったまま、戻って来るともしれない君を待ち続けるのは辛すぎるの。
………こんな私が、君に逢う事なんて許されないのかもしれないけれど。
君の記憶がモノクロに色あせてしまう前に、
君に逢いに行こうと思うのです。[ 1/3 ][*prev] [next#]