当たり前のことを考えながら、篠宮梨萌は通学路をのんびり歩く。
風に吹かれなびく、赤茶色の髪。
よく勘違いされるが、染めているのではなく地毛だ。
遺伝子的に色素が薄いのと、ハーフの母の赤い髪の毛が混じってこうなったのだ。
つまりは、梨萌はクオーターな訳である。
(初見の人には不良とか勘違いされるし得ではないけどね)
ため息をつきながら思う。
目は普通に黒いので、不良などと勘違いされやすい。
腕時計を見る。
時刻は、7時40分。
別に学校が遠いわけでもないのにこの時間帯に学校に向かっているのは、今日が梨萌の日直だからである。
(あー、だるい・・・。浅羽、先来てるかなぁ・・・)
同じくもう1人の当番である、浅羽をなんとなしに考える。
(まあ、来ててもほぼ無言なだけか・・・)
同じ日直の浅羽は、女子の間では顔が整っていて一匹狼的なところが人気だが、梨萌にとっては『無口な浅羽』というカテゴリにしか分類されていない。
彼女は、他人にあまり興味がないのだ。
そんな事を思いながら歩いていたが、ふと足を止める梨萌。
視線は、ある一点のみを見ている。
(あれって・・・。)
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