『今日は寒いねー』
彼女が手をこする。
その様子を見て
なんでだろう。
無意識に手が動いた。
『///!!???え?浅羽くん』
「寒いんでしょ」
『…それはそうだけども』
握った彼女の手は、小さく冷たかった。
『でも、これ端から見たらもうカップルにしか見えないよ…?』
「嫌なら離すけど」
『嫌じゃないしむしろ嬉しいけど…』
「じゃあこのままで」
それ以上は何も清水さんは言わなくなった。
手を繋いだまま歩く。
数分後
『あ、ここが私の家だから…』
清水、と表札が飾られた家の前で止まる。
「結構、俺ん家と近いね」
『浅羽くん家はどこなの?』
「この道を曲がったとこにあるマンション」
『本当?!すっごく近いね〜』
「うん」
『傘ありがとうね。じゃあ、また明日』
「うん。明日」
繋いでいた手を離して、清水さんは走って家の中に入っていった。
「……」
さっきまで繋いでいた手を見つめる。
もうそこには、繋いでいた手はなくて
(…そういや、清水さんにかわいいって言ったっような)
あ、どうしよう。とか思いながら、手をポケットに突っ込み
家に向かって歩いていった。
9/29