I want to bite you to death! | ナノ
ベルの場合

■ ■ ■


「てかひっさしぶりぃ。雛香」
「ん、まあ久しぶりだな。…何ヶ月ぶり?」
「王子が任務でたまたま会った時以来。だから、3?」
「…うっわーそんなに経ってんのか。どうりで懐かしいわけだ」
「前会った時は雲がうるさくてあんま話せなかったしー、コレは王子へのプレゼントかなあ」
「へ?雲雀がうるさかった?」
「うん。すっごく」
「それはねぇだろ。なんかの間違いじゃね?」
「…あー、うん。まあいーや」
「?」

不可解そうに首をかしげる相手に、ベルは簡潔に話を終わらせた。

相変わらず鈍いこと。
以前雛香と会った時、楽しげに話す彼の背後からこちらを睨んだ、あの男の目を思い出す。
全力で殺すって目で言ってたケドな、と記憶にふけるベルをよそに、横を歩く雛香はこちらをのぞき込んだ。

「ベル、他のみんなは元気か?スクアーロとかルッスーリアとかフランとか、ザンザスとか」
「あー…まあ元気元気。王子としてはすっごく残念だけど。特に隊長とかクソガエルとか」
「ミーのこと呼びましたー?」

ひょっこり、
突如廊下の向こうから姿を現したのは、

「フラン!」
「うわ出たクソガエル…」
「あ、やっぱ雛香サンじゃないですかー。先輩、抜けがけなんてヒドイですよ、サイテー」

緑の蛙帽子をゆらゆら揺らしながら、フランはこちらへ歩み寄ってくる。その顔はわかりにくいながら少しだけ緩んでいた。

「なっんで来るかなクソガエル。だいたい、『やっぱ』ってなんだよやっぱって」
「なんとなく雛香さんっぽい気配感じたんですよー。これがミーのラブの力ってヤツですよね、やっぱ運命ですよ雛香さムギャッ」
「カエルは黙れ」
「ははっ、相変わらずだなーフランも。俺安心した」
「何言ってんですか雛香さん、助けてくたざいよ。この人本気でミーの頭にナイフ刺してるんですけど」
「大丈夫だろ、どうせヴァリアークオリティ」
「怪我にクオリティ関係ありませんー」
「ウッゼーんだよクソガエル。てめぇはさっさと部屋戻れっての」
「ハイハイ、気の短い先輩は黙っててくださいー。それに雛香さんもミーに用があるみたいですしー」
「は?雛香がお前に用?何フザけた事ー」
「うっわよく知ってんなフラン。なんでわかったんだ、やっぱ怖ぇな術士って」
「ーあるワケねーじゃん…って、は?」

あぜんとするベル。得意げな顔になるフラン。

「ってワケで、これは雛香さん拉致計画決定ですねー。じゃっ、堕王子はどっかに消えてください」
「ちょっ、フランいきなり引っ張んなよ馬鹿」
「待て、おいふざけんなよカエル頭!」
「ハイハーイさよならまた来て明日〜」

ぐいぐい腕を引くフランの後ろ、完全に主導権を取られた雛香が呆れた笑みを浮かべる。
そのさらに後ろで完全に置いてけぼりを食らったベルは、舌打ちをしながら遠ざかる背中へナイフを投げた。





「まったく、ミーの背中にだけ当たるようにナイフ投げるとか、たまに天才発揮するんだからベル先輩ってホントーにわけわかんないですー」
「ところで大丈夫なのかその背中」
「大丈夫ですよこのくらい。師匠の修業に比べたら」
「……骸のやつ何やってんだ…」


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