お題 | ナノ
君の面影は消滅した/死ネタ

■ ■ ■


「…これで終わりにしよう」

ー終わりにする勇気なんてない癖に。

「ここから、出るんだ。2人で」

ー出られないことを知っていて?

「…お願いだ、伊織…俺の言う事を、聞いて」




「つなよし」
伊織が笑う。俺を嘲笑う。
その冷たい笑みが、瞳が口元がー俺を、俺の感情を削り取っていく。感覚も。
ただ、ボンゴレファミリー10代目ボスとしてのーその使命と重責の存在へと、塗り替えていく。

嫌だ嫌だと駄々っ子のように震えていた俺の手が、いともあっさり炎を宿らせるのを、伊織はただ無言で見つめていた。
微笑んでー口を閉ざして。
俺の瞳が冷めていくのを、きっと内心嘲笑っているんだ。


「……沢田、綱吉ーボンゴレ10代目、ボス」

そうだ、いつだってそうだった。
それが俺の責務であり、居るべき場所ーマフィアの頂点。
たまに忘れたくて震える俺の耳元で、
彼はいつも静かに囁いては、俺の中にその使命を蘇らせてきた。


「……スパイの存在なんて、抹消しなきゃ。ね?」



呟いた伊織の胸元を、
俺の炎はあっけなく貫いた。


俺が愛し、慈しんだー大切な、側近の命を。


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